発達障害児のサポート 「実務的には限界だ」

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   落ち着きがなく、授業中に廊下に出ていってしまったり、ほかの勉強は問題がないのに、計算だけができなかったり――。番組によると、そんな「発達障害」を持つ子供たちは通常学級に在籍する小中学生の約6%、全国に68万人もいるそうだ。

   学校生活になじめず、いじめにあったり、不登校になったりする可能性も少なくないが、その半面で高い創造的才能を秘めた子供もまた少なくない。一説にはアインシュタインやエジソンも発達障害児的だったという。そうした子供の勉強や、社会性をサポートして、うまく育てていくにはどうしたらいいのか。そこで、今回の放送は「才能を開花させよ~どう支える発達障害児~」と題して、学校における発達障害教育の現状を取り上げたのだった。

行政・社会が必要性理解することが重要

   じつは、そうした子供をサポートする「特別支援教育」はすでに実践されている。番組で紹介されたある小学校の例では、教師がコーディネーターとなり、発達障害の子供35人に対して個別の指導計画を立てる。心理面をケアする特別な授業も行う。

   ところが、どの世界でもありがちなことに、そういったサポートの仕組みがうまく機能していない。現場任せで、試行錯誤、暗中模索。人手も足りない。「ノウハウがない。このやり方でいいのかと不安に思うことも」「実務的には限界だ」(コーディネーターの教師)。

   所変わって、イギリスの事例。ここでは発達障害児に手厚いサポートが施されているという。コーディネーターは学校に2人しかいないが、23人の学習支援員がいる。彼らが教師と密に連携しながら、一人一人の子供の特性を見極める。こうしたことで、100人の発達障害児の子供たちが幸せに暮らしてるという。もちろん、コストはかかる。こうした特別支援教育に年間7000億円。

   まあ、どう見ても彼方の水が甘そうだというので、国谷裕子キャスターは「イギリスのような支援体制をつくるには何が必要ですか?」とゲストの専門家、上野一彦・東京学芸大学教授に水を向ける。

   番組の通例だと、ここでついにチャンス到来、とばかり、自分の研究(対象)がいかに重要かをアピールしつつ、国などに対する要望、要求などを堰を切ったように語りだす専門家が多いのだが、今回は「こういった教育の必要性を行政、社会が理解していくこと(しかし、それには時間もかかる)」。みんなで、やれることから地道にやっていきましょう的な、控えめなコメントが聞かれたのはなんだか新鮮だった。

ボンド柳生

<メモ:発達障害> 知的な障害以外の、なんらかの原因で発達に障害があること(あくまでも、この番組における定義)。ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)、高機能自閉症、アスペルガー症候群などが含まれる。

* NHKクローズアップ現代(2009年2月10日放送)

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