鶴橋ワールドと「危ない世界」 「犯人役は椎名桔平」納得の訳

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「警官の血」(テレビ朝日) 2009年2月7日・8日 21時~

   開局50周年記念番組の大トリをとって、2夜連続の超大作ドラマである。大監督の鶴橋康夫を脚本・演出に迎え、出演者も主役級の俳優がほんのちょい役で出ていたり、贅沢極まりなく、この不況下にテレ朝大奮発したナと声をかけたくなった。内容はどうだったか。3代に亘る警察官の家系の、戦後の大河ドラマとしては大変見ごたえがあったといえるが、多少の注文も無きにしも非ずだ。
   初代の安城清二(江口洋介)の場面に違和感があった。チャチなセットでなく、昭和20年代の面影を残す旧炭住街でロケをした効果は絶大だったが、江口が20年代の男には見えないのだ。髪形も現代風だしスラリと手足の長い体型も戦後の日本人には似ていない。3代目(伊藤英明)ならいいのだが。まあ、無理な注文ではある。
   これに比べて、2代目・民雄(吉岡秀隆)は吉岡の繊細なキャラと、公安のスパイで心身を病んでゆく役とがピタリとはまり秀演であった。大菩薩峠武装蜂起演習事件を上手く取り込み、警官の踏み込み時の集団演出の見事さ、民雄の殉職した立てこもり事件での逆光を使った鶴橋ワールドの映像など、さすがといえる出来である。
   犯人・早瀬勇三(椎名桔平)の80歳代老人車椅子姿はいかにも苦しいが、監督が早瀬に椎名を指名した訳は、鶴橋が得意とするエロティシズムの極致たる男色に溺れるシーンを、どうしても椎名で撮りたかったのではないかと察せられて、納得がいったのである。

(黄蘭)

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