シンガポールは研究者の理想郷? でも怖いドラマを思い出した訳

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「NHKスペシャル 沸騰都市(7)シンガポール 世界の頭脳を呼び寄せろ」 2009年2月15日 21時~

   山手線の内側くらいの都市国家シンガポールは、世界中から飛び抜けた才能を引き抜き、先端医療やバイオ分野で国家存立の礎(いしずえ)を築こうとしている。70歳で定年間際の元京大教授は研究室ごと移住した。今は世界の才能の引き抜き役も担っている。別の准教授はプールつきの快適なマンションをあてがわれ、向こう10年は帰る気がないという。億単位の機器を2台も買ってもらえた。
   しかし、上からのチェックは峻烈で、3年間格別の発見や業績を上げねばすぐにクビ。准教授も論文がNATUREにボツにされて顔がひきつっていた。まるで理想郷のように描かれているが、筆者には不気味で何の魅力も感じられなかった。かつて囚われた街からどうしても逃げられない怖いテレビドラマ「プリズナーNo.6」があったが、あれを思い出す。あるいは、ジャン・レノ主演の映画「クリムゾン・リバー」に出てきた秀才ばかり集めた修道院学校みたいだ。
   つまり、極限まで効率を求めて金を投資し、セカセカと尻叩きされて果たしてそこで働く人間は幸せなのか? 「日本は金持ちだが金の使い道を知らない」と人材確保のボスが笑っていたが、定年があり、人との優しいふれあいの中で、じっくりと研究する日本的環境も捨てたものではないと反発を覚えたのである。
   一方、徹底的な管理の下に使い捨てで働かされている外人労働者の取材もしてあったが、陰の部分への目配りがいささか物足りない。

(黄蘭)

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