座った客が何求めているか 「分からないとプロじゃない」

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   「日本で一番」の京料理屋が、東京・新橋にある。味、そして値段も、間違いなく日本でトップクラス。けれどもミシュランの最高評価は辞退。それが、日本中の舌の肥えた食通をうならせ続ける名店「京味」。古くは志賀直哉から阿川弘之などの著名作家を始め、多くの文化人に愛されている。この店に限らず良い店からは文学的な匂いが漂う、気がする。

   今回のゲストは、その「京味」店主で料理人・西健一郎。料理人というと、プライド高く、頑固といった『職人然』とした人物像をイメージする。しかし画面から見る彼からは、そうではない柔らかい印象を受けた。

   その印象は、仕事にも反映されていた。「京味」は、いわゆる料亭ではない。のれんをくぐれば10人も座れば一杯になるカウンター。客と向かい合ってサービスをする、割烹だ。メニューも、おまかせコースのみ。だから客の顔を伺いながら臨機応変にコースの内容を変えることが出来る。

「今日ここに座った人がね、何を求めてんのかな、それが分からないと私はプロだと思ってないんです。お客様の気持ちの分からない人が一方的にものを作って出してもね、(客は)もう一度来たいとは思わないんじゃないですかね」。

   常に食べる人のことを意識する。仕込みの段階から、客を見送るときまで、相手の事を考える。そして客が帰った後は、誰にどんな料理を出したかメモを忘れない。次に来店したときの参考にするためだ。気遣いの積み重ねこそが、料理人の愛なのだ。

「手間をかけることによって、いらないものが無くなる」

   これは西が調理に対して放った言葉だが、全ての所作に通じることだろう。

   ところでこの名店に一度は行ってみなければと思い、さっと調べてみた。最低1人4万円。今は絶対に無理だと諦め、正月におせちならばと調べたところ、三段重で12万円。なんだか『分かる人じゃないと来て貰わなくて結構』と突っ返されてしまった気分だ。

慶応大学 がくちゃん

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