医療情報公開の目的 日本では患者のためではないらしい

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   「だれもが知りたい病院の実力。その決定版ともいえる情報が厚生労働省のホームページで公開されました」と、番組冒頭のナレーションで高く評価されるのがDPCデータというものだ。

   「どんな治療がおこなわれているか」「在院日数」「再入院率」などに関して、全国1428の病院から提出された医療情報をまとめたデータである。当然、どこの病院が自分の病気にふさわしいかを探す患者に役立つ情報、と思われがちだが、そう簡単ではない。まず有効活用しているのは病院サイドのようだ。

英国では、国の機関が4ランクに分類

   紹介されるのは長野・松本市にある相澤病院のケース。DPCデータから、この病院の胆のう炎患者の入院日数が、同じ県内の佐久総合病院に比べて2倍近いことが判明する。データを分析精査して治療内容に違いがあることをつきとめ、佐久総合と同じ方向に踏み出した。

   スタジオゲストの池田俊也(国際医療福祉大教授)は「これまでは病院同士が治療内容、成績などを客観的に比較できるデータが存在しなかった。独りよがりの治療が続けられてきた側面も否定できない。医者である私自身、反省するところもある」と言う。

   医療情報を活用するしくみが欧米では進んでいると番組は伝える。イギリスでは、国の機関が一括して医療データの収集、分析、評価を行い、病院を、悪い、普通、良い、優秀の4つのランクに分類する。さらに死亡率がきわめて高かったり、間違った治療が行われたりしているような病院は実名が公表され、厳しい改善指導がなされるという。これらの評価を国民は検索で知ることが出来る。

「入院日数、再入院率が参考に」

   これに比べると、日本の取り組みは甘い。池田教授は「国が公開するデータは限られているし、治療成績などのデータも不十分な状態だ」と語る。それどころか厚労省は、必須と思われるデータさえ減らす傾向にある。たとえば、がんの場合、病状の重さによって9段階で記入されることになっているが、最近は空欄が多いらしい。厚労省によると、DPCデータを収集する病院側の負担軽減のために、データ記入を簡素化しているのだという。お金の問題なのである。患者のための情報が遠くなっている印象だ。

   「患者の立場から公開データをどう活用すればいいのか」という森本健成キャスター(国谷裕子キャスターの代打)の問いに、池田教授はこう答えた。「今後の治療について主治医と相談するときに、入院日数、再入院率が大いに参考になる。昔のようなお任せ医療ではなく、客観的なデータに基づいて患者と医師が治療方針をともに考え、ともに決める有用な情報になると思う」。

   ともかく英国方式を早急に導入してくれ、と叫びたくなった。「世界第2の経済国」を標榜するのであれば、そして、これまでのムダ遣い、バラマキを顧みれば、それくらいやってくれても罰は当たるまい。

アレマ

* NHKクローズアップ現代(2009年3月2日放送)

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