どうした「山田太一」ドラマ 「数字」に現れたその弱点

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「ありふれた奇跡」(フジテレビ) 2009年2月26日 22時~

   ついに御大・山田太一脚本の連ドラが視聴率1桁台に落ちてしまった。むべなるかな。出だしはなるほどと共感したのだが、回を追っても一向に高揚感が出てこない。それどころか、1人息子と1人娘の孫たちに、爺や婆世代が一喜一憂して過保護に気を使う。山田太一氏の家庭はそうかもしれないが、いくらなんでもリアリティがない。バカバカしくて次回を待ちたい気分が起こらないのだ。
   第1回で、偶々電車のホームで飛び込み自殺をしそうになった男・誠(陣内孝則)を助けた翔太(加瀬亮)と加奈(仲間由紀恵)が知り合う。2人にはそれぞれ自殺未遂をした過去があり、職人の翔太と山の手娘の加奈とは、生活格差を乗り越えて付き合い始める。ここまでは流石に山田ワールドだと感心して見ていたが。後がさっぱり。普通の人たちの日常から物語を紡ぐ王道ではあるのだが。
   このドラマでアンコの部分といえば、2人の父親が職業は違えど女装趣味があって、すでにその世界で顔見知りだったこと。翔太の父(風間杜夫)は妻に逃げられていて、加奈の父(岸部一徳)は妻が不倫していて、現代人らしいストレスの捌け口が女装なのらしい。見かけはちゃんとしたサラリーマンの、一皮むけば弱い中年で、息子や娘にエラソーに説教垂れる資格はないと作者は言いたげである。だが、頭の中で考えた設定で頷けない。それより、妻子を失った絶望の誠と、もっと絡ませた方がよかったのではないだろうか。

(黄蘭)

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