演歌のジェロが大変革? 日米ショウビズ界の「常識」

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「プレミアム10 海を越えた演歌・歌手ジェロ・親子三代の物語」(NHK) 2009年2月27日 22時~

   ジェロがまだブレークする前、1年前から彼に密着した慧眼が素晴らしい。駅前に立って歩行者にPRする、まだ無名のジェロから始まって、母親の前で歌う紅白歌合戦出場の凱旋姿まで、おとなしくて礼儀正しい彼とはまた少し違ったジェロが垣間見える。
   アルバムの録音時に、ディレクターの再テイクにうんざり顔で言った言葉が面白い。「アメリカ人は『家族、健康、仕事』の順だけど、日本人は『仕事、仕事、仕事』ばっかりだ」。それでも黙々と音録り仕事をやり遂げ、全国へのドサ回りにも文句を言わずに従う。日本人の若者より日本人の鑑らしい姿だ。
   黒人兵と結婚した祖母にも、黒人らしい肌の色で育った母にも、複雑な過去があったことがわかる。母親は13歳まで横浜育ちで、苛められて自殺未遂もやった。日本語はペラペラだが、見かけは全く日本人ではない彼女に、自分の出自を素直に語れない思いがあるだろう。今時の国際化した日本にやってきた若者であるジェロには理解不可能な、微妙な母子のズレが存在すると画面から感じられる。
   ピッツバーグでは、ジェロの演歌に、黒人の友達たちがつけるバックダンスが唸るほどうまい。日本に連れてきてプロのダンサーとして十分通用しそうだ。かつての日本人的感覚では、ショウビズの世界では、アメリカを見上げていたのに、ジェロのお蔭でアメリカ人も、ある部分では日本を見上げているのだと感じ入ったのである。

(黄蘭)

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