2024年 4月 24日 (水)

新聞・TVは「お上」に屈服 「裁判員制」雑誌は問題点えぐれ

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   今週は現代が「創刊50周年記念特大号」。先週の文春の特大号に比べると、質量共にやや劣るが、「表紙を彩った奇跡の美女たち」のトップは、やはり、吉永小百合。御年20歳。ややはにかんだ表情が、永遠のサユリストである私の心を捉えて放さない。この写真だけでも買う価値はある。

   大特集は各界42人に「心に残る『あのできごと』」を語ってもらう24ページの大ワイド。日野原重明氏が「よど号ハイジャック事件」、石原慎太郎氏が「三島由紀夫自決」、田中康夫氏は「女性との同衾中に知り」現地へ駆けつけたという「阪神淡路大震災」、ちばてつや氏は「金嬉老事件」について話しているが、全体に総花的で、もの足りない感じが残る内容だ。

現代と相撲八百長 協会「勝訴」に思うこと

   先日、東京地裁が下した「横綱・朝青龍らに総額4290万円を払え」という判決に対して、2ページを使って「反論」しているが、やくみつる氏の「あの記事は現代さんが無茶をしすぎたな、という気はします」というコメントを入れるなど、やや弱気な姿勢が気になる。

   先週、40人ばかりの学生たちに話をした際、大相撲に八百長はないと思う人は手を挙げてくれと聞いたら、1人だけしかいなかった。私ばかりではなく、大相撲に八百長があると、多くの人は思っているのだ。大麻、リンチ事件も続発している。公益法人「日本相撲協会」には、そうした汚濁を浄化する義務があるはずである。そこに踏み込まずに、驚くような高額の賠償金を払えというのは、世論を無視した一方的な判決だと、私は思う。

   5月21日から始まる「裁判員制度」は、こうした軽微な裁判は対象にならないが、もし、ここに裁判員がいたら、こんな判決にはならないだろう。

   その裁判員制度だが、もうすぐ始まるというのに、雑誌で扱うところが少ないのはどうしたことだろう。特に、裁判員に予断を与えない「事件・事故」報道について、もっと議論すべきだ。

   新聞テレビは、昨年早々「自主規制」することを発表してしまったが、雑誌は、「新たなルール作りが必要とは考えない」(日本雑誌協会)としている。

今週のオススメ記事は…

   そう思っていたら、ポストの「メディア・ウォッチング」でノンフィクション作家の森功氏が、朝日新聞が3月22日付で出した事件・事故報道の「新しい指針」に対して、「昨今の司法制度改革関連の報道を見るにつけ、あまりにも司法を意識しすぎるように感じる。本来、報道基準は司法の判断とは別のところにある。報道の原点は市民の社会的関心に応えること。朝日は自らそう書いていながら、そこについて踏み込んだが議論がない」と批判している。

   また、連載「現場の磁力」で、携帯の「闇の職業安定所」で知りあった3人に、無惨に殺されたOLの一審判決を取り上げ、「『死刑』『無期』5月21日、あなたはどう選ぶ」と、娘を殺された母親の話を中心に書き進めながら、読者に問いかけている。

   国民に十分な説明もなく、憲法違反の疑いまである裁判員制度は、一度白紙に戻し、国民を入れて議論を尽くし、やり直すべきだと、私は考える。そのためにも、お上がつくってしまったものだから諦めろといわんばかりの新聞報道ではなく、違う角度から週刊誌も含めた雑誌は、問題提起をするべきだろう。まだ間に合う。

   最後に、今週のお奨めはと、もう一度各誌を眺めてみた。いつもは読みながら、おもしろい記事のページを折っておくのだが、残念ながら、今週はいくつかのコラムを折り込んであるだけだ。

   新潮の大特集「日本を襲う『テポドン』15の謎」は、いろいろ騒いでいるが、結局は、麻生首相の支持率アップのための演出に踊らされている「空騒ぎに過ぎない」というのでは、お奨めというわけにはいかない。新潮は、朝日新聞から「朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白」記事に対して批判され続けていることが影響しているのか、このところ誌面に精彩がない気がする。「これぞ新潮という記事」を読ませてもらいたいものだが。

 

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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