元アメリカ大統領と勝負だ! アノ事件知らなくても楽しめる(フロスト×ニクソン)

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(C)2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
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   <フロスト×ニクソン>かつて実際に放映されていたインタビュー番組の司会者であるデビッド・フロスト(マイケル・シーン)は、ウォーターゲート事件で失脚した元アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン(フランク・ランジェラ)に目を付け、自身のアメリカ進出とジャーナリストとしての地位確立をかけ、私産を費やし、ニクソンへの単独インタビューを企画する。こうして、闇に包まれた元大統領の「本音」に接近しようとするフロストと、密かに政界復帰を狙うニクソンとの、インタビューという名の「野心の決闘」が始まる。

   愛矯やジョークで「本音」を隠しつつもニクソンの心理を探るフロストだったが、政界の数々の修羅場をくぐり、自身よりも人生経験豊かな相手の老獪さと狡猾さに、その狙いをかわされてしまう。心の奥底に潜む互いの野心が静かに火花を散らす心理戦は、たった一つのミスが命取りになる。その危機迫る緊張感と緊迫感に包まれたこの映画は、122分という上映時間をまったく感じさせない。映画が終わる時――2人の勝敗は明瞭に分かれる。その勝敗を分けた要因は、勝者が知りつくしていたものだった。

   両主役や脇を固める役者のキャスティングも絶妙であり、中でもニクソンを演じたフランク・ランジェラは圧巻だ。希代の策士であり、世紀の悪党である「沈黙の巨人」の表象と、その中に存在する滑稽さと悲哀を醸し出す絶妙なキャラクターを作り上げている。

   そして、そのニクソンの「人間性」が、この映画の重要なキーワードである。

   事実を元にしたドキュメンタリーであり、ジャーナリスティックな作品であるが、それを映画というエンターテイメントに昇華しているこの作品は、あらゆる視点で観ることができるだろう。デビッド・フロスト、リチャード・ニクソンの概要や、背景を知らない者でも、きっと楽しめるであろう、文句なしでおすすめできる映画である。

川端龍介

   オススメ度:☆☆☆☆

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日本ジャーナリスト専門学校
通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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