2018年 7月 19日 (木)

「外観きれいだけど中はつまんない」 そのひと言で大変身

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   建築は、大いなる自己表現だと思う。建築家はいたる所に自分のアイデンティティを残し、自分自身の美学を訪れる人に感じてもらえる。数々の制約の中で己を残す、いわば大きなエゴイズムだと、私は思う。もちろん良い意味の。

   今回のプロフェッショナルは、建築家の伊東豊雄。表参道の「TOD'S」のビルや、銀座・マロニエ通りの方の「ミキモト」のビル、仙台の図書館を中心とした複合施設「せんだいメディアテーク」を手がけた建築家だ。建物の写真を見れば、その独特さがわかる。1度見ると鮮明に記憶に残る建物だ。

   伊東は商業施設を始め、公共施設のコンペにも数多く参加。コンペでの採用率は50%近いという。大型のコンペでは世界中から著名建築家が応募すると聞くので、この数字は驚くほど高い。伊東が建物を設計する際の心構えは、使う人が快適に過ごせる空間作りだという。

「利用して下さる方達が、どれだけ思いっきり自分のやりたいことができて、自由に振る舞えるようなね。建築ってどうしても何か人をコントロールしてしまうものなので、少しでもそこから解放するというか。それがなかなか難しいんです」

   伊東は人気建築家として活躍しだした頃、タクシーの運転手に「あの建物は外観はきれいだけど、中はつまんない」と言われたことがあるという。それまで建築家は箱だけを作ればいいとされてきた。その一件以降、より一層使われ方を意識した設計をしているという。

   使われ方を意識する。伊東の、既存のものを打ち破りたいとするエゴが、既存の枠組みになかった使われ方をも生み出す。次世代の建築とはこうあるべき、と納得した放送だった。

   さて、伊東の事務所は古い、何の変哲もない貸しビルにある。更にはあの安藤忠雄ですら、住まいはマンションだという。斬新な設計をする者が、ありふれた建物を利用する。なにか滑稽でおもしろいと思うのは、私だけでしょうか。

慶応大学 がくちゃん

* NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2009年4月7日放送)

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