軍事ロボットが戦争を招く? 狙われる日本の技術

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   冒頭の、アメリカ軍が構想する2015年の戦闘ビデオの映像は、まるで映画の1シーンのようだ。そこに登場する軍事ロボットの数々――兵士の代わりに偵察を行う飛行ロボット、攻撃能力をもつ地上型ロボット、秘かに敵の拠点に侵入する小型ロボット――アメリカはこれから先、5年間で2兆円を軍事ロボット開発に投じるという。アメリカ軍の准将はこう述べる。「私たちの目は常に日本の民間ロボットの技術に向けられている」

アトムの時代から…

   「平和を願い10万馬力で活躍する鉄腕アトムの時代から、夢や希望の象徴という独特の文化の中で発展してきた」(国谷裕子キャスター)世界最高水準の日本のロボット技術は、アメリカのみならず、インド、イスラエルなど各国軍関係者の標的になっている、と番組は伝える。

   どこが注目の的なのか。NHK社会部の草ケ谷達也記者は、実用的な機能、小型軽量化の技術だと言う。「もともと、日本は精密機械の技術が高い。ペン1本ほどの重さで自律飛行でき、情報収集できるロボットも開発されている」(草ケ谷記者)。このほか、既に実用化の域に達した小型ボート型ロボット、ヘリコプター型ロボットも紹介される。

   現在までのところ、日本のロボット企業は、軍事利用をもくろむ海外からの引き合いに応じていないらしい。しかし、ここに来て軍事ロボット導入に乗り出した自衛隊の要請があった場合はどうか。「企業では、簡単にノーと言えない。判断はむずかしいと話している」と草ケ谷記者は語る。

米、イラクなどに1万台以上投入

   日米とも軍事ロボット配備に熱心なのは、危険地域に派遣される兵士のあらゆる任務を肩代わりさせたいからだ。1セット6000万円の偵察用小型無人機をテスト中の陸上自衛隊第2師団の師団長は「鳥の目であり、虫の目であり、いろんな手段を通じて敵に先んじて情報を入手する。戦いの優位性を確保できる」と言う。

   アメリカ軍は、イラク、アフガニスタンに1万台以上の軍事ロボットを投入済みだという。草ケ谷記者は、軍事ロボットの大量投入は戦い方を変える一方で、戦争のハードルを低くする可能性があると指摘する。そして「兵士の犠牲が少なくなれば、国民の批判という政治が受けるリスクが減り、戦争を行う政治の意思決定が容易になってしまう恐れがある」と説明する。

   日本の防衛産業も、自衛隊に対して軍事ロボットの利用を促す構えを見せている。アトムの夢も風前の灯といわなければならない状況のようだ。

アレマ

*NHKクローズアップ現代(2009年4月13日放送)

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