進まぬ緊急保証の背景 マスコミの「手のひら返し」批判の恐怖

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   資金繰りに苦しむ中小企業を支援しようと政府が30兆円を投じて打ち出した緊急保証制度。だが、スタートして半年、倒産減少の兆しは見えず、3月は1500社以上が倒産したという。番組は、緊急保証制度が十分、機能していない実例を見せて行く。

「中小企業育てる姿勢あるのか」

   1つは本来、中小企業の保証人的役割を果たすべき信用保証協会の審査の厳しさ。2000万円の緊急保証を求める福岡の金属部品メーカーに対し、すでに金融機関から5000万円を借り入れており返済能力がないと却下する。貸し出し先が倒産した場合、未返済の80%は政府系金融機関が、20%は信用保証協会が負担しなければならず、『自腹』になるのだ。

   実は、信用保証協会には苦い過去がある。1997年に起きた金融危機の際、特別保証制度の下で融資を進めたが、悪質な詐欺的ケースもあって2兆3000万円を焦げ付かせてしまう。

   「当時、マスメディアは大いに保証せよといっていたが、ノド元を過ぎると審査がルーズだったと批判に転じた」(スタジオゲストの山口義行・立教大学教授)。

   もう1つは悪名高い貸し渋り。ある紙製品メーカーの財務担当役員は8000万円の運転資金が必要となり、5000万円は緊急保証にすがり、3000万円は大手銀行に貸し出しを要請する。しかし、大手銀行は応じようとしない。やがて信じられない話を持ちかける。3000万円は貸すが、緊急保証分の5000万円が入ったら即、返せというのだ。「メガバンクが中小企業を育てて行こうという姿勢があるのか疑問」(財務担当役員)。この件がどうなったかについての報告も欲しかった。

M&Aは成長分野

   こうしたダークな流れの中、後半の「攻めの融資を行っている現場」(国谷裕子キャスター)はやや明るさを感じさせる。舞台は静岡・浜松。売上げが6割減少した自動車部品メーカーの社長に、長年、資金を貸してきた信用金庫はある提案をする。金型製作に高い技術を持つ従業員8人の町工場を買い取らないかというのだ。メーカーはこれまで金型を外注し、年間2億円を支出してきた。技術を誇る町工場の方も後継者問題を抱えていた。両者の弱点を補い合うM&Aのススメである。信金もまた県内で中小企業の倒産が相次ぎ、安定した貸し出し先を確保することが課題だった。信金の理事長は「M&A事業は成長分野であり、それに取り組んで行けば地域の衰退を食い止める方策になる」と述べる。

   山口教授は「事業創造のお手伝いをし、結果として貸し出し先も増える、そういう方向性を金融機関も真剣に追求してほしい。まだまだ勉強不足のところが多い」と指摘する。そして、国が省庁間で連携するなどして事業創造のモデルプランを示す必要性に触れた。

   地方(民間)と国が協力して当たれば難問の解決も可能だと思われるが、なかなか思い通りに運ばないのがこの国の現実で、またもや、暗い気持ちにかられた。

アレマ

   * NHKクローズアップ現代(2009年4月20日放送)

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