子どもが子ども殺害そして… 「続き」見たいような重すぎるような

印刷

   <アイシテル~海容~>なんてつらい話なんだろう。子供による子供殺し─こんな深刻なテーマに取り組もうとする日テレの勇気を買う。しかし、どういう筋立てで、どういう結末にもっていったら見る人の共感を得られるのか、心配になってしまう。だって、反射的に浮かぶのは土師淳くん事件(酒鬼薔薇事件)なんだもの。

   リバーサイドの高層マンションに住む主婦・さつき(稲森いづみ)は、夫・和彦(山本太郎)と一人息子の智也(嘉数一星)と3人暮らし。息子を私立の付属小学校に通わせ、塾にも行かせている。さつきはその費用を稼ぐため、ウェイトレスのパートをしている。夫は仕事にかまけ、智也とあまり交流をもとうとしない。

家族の再生どう描く?

   さつきは、まさに夫や子供のために尽くす「真面目」で「平凡」な主婦である。しかし私は、どんなに貧しい頭でも、自分で考えることこそが真面目だと思っているので、こういうのは真面目な人とは呼ばない。また、「平凡」という言葉の中に逃げ込める生き方など、あるはずがないとも思う。

   世間的にちゃんとした企業に勤めるサラリーマンの夫と優秀な子供、良い家庭をしっかり守る主婦、という出来合いの幸せの形。無自覚に、自分も家族もそこに押し込んで生きている。じつはそれぞれが不幸感を抱いているのに……。

   その空っぽのきれいなガラスの箱みたいな家庭を一気にぶちこわしたのは、小学校5年の息子・智也が近所の公立小学校2年の清貴(佐藤詩音)を殺害するという信じられない事件だ。清貴役の詩音くんはとってもかわいい。だから、溺愛する息子を突然失った母親・聖子(板谷由夏)の激しい悲しみがよけい痛々しく見える。

   殺すほうの智也役の一星くんは難しいんじゃないかな。ほとんどセリフがなく、無表情。ふつうの少年が異常な犯罪を行うという設定を演じなきゃならない。もう、言われるままにやるしかないよね、一星くん。感情移入のしようもないだろうし。

   ドラマは、加害者、被害者の2家族の「家族の再生の物語」として進んでいくのだろう。加害者の母・さつきは過酷すぎる現実に向き合い、成長していくだろう。逃げ腰の夫はどうなるのか? また、自分が目を離したせいだと自分を責める被害者の母・聖子はどうやって立ち直るのか? 夫・秀昭(佐野史郎)と娘・美帆子(川島海荷)もまた、それぞれの痛みを抱えながら母を支え、もう一度、家族を築いていくのだろう。

   こうやって考えたとき、「家族の再生」は、加害者側より被害者側のほうがまだ可能性があるように思う。加害者側はお互いに目を背けたい気持ちになりそうだ。

   あまりに重いテーマに、続けて見たいような見たくないような……。子供を持つことはこんな恐ろしいことが起こりうるということでもある─結果的にそんなメッセージとなって少子化に影響しなければよいが、と取り越し苦労までしてしまう。

カモノ・ハシ

  • コメント・口コミ
  • Facebook
  • twitter
コメント・口コミを投稿する
コメント・口コミを入力
ハンドルネーム
コメント・口コミ
   

※誹謗中傷や差別的発言、不愉快にさせるようなコメント・口コミは掲載しない場合があります。
コメント・口コミの掲載基準については、コメント・口コミに関する諸注意をご一読ください。

注目情報PR
追悼
シニアの健康ライフ
Slownetからのおすすめ記事(提携)

お知らせ

電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中