2024年 4月 18日 (木)

こわい「DNA鑑定で有罪」 約20年後「間違ってました」

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   <テレビウォッチ>1990年に栃木・足利市で起きた幼女殺害事件で、有罪の決め手になっていたDNA鑑定が、最新の鑑定で「シロ」と出た。無期懲役が確定している菅家利和受刑者(62)が出した再審請求審で明らかになった。彼は犯人ではなかった。しかし、事件はすでに時効だ。

分かったようで分からない

   当時この地域で幼女殺害が続いていた。栃木県警は、現場に残された犯人の体液とのDNA鑑定を根拠に菅家受刑者の犯行と断定した。当時DNA鑑定は個人を特定する最新の技術で、精度は100-150人に1人。新技術による初の確定事件として話題になった。

   しかし、現場検証で幼女を捨てた場所も特定できないなど、おかしな点は多かった。警察は菅家受刑者が犯行を自供したとして、3件について送検したが、うち2件については不起訴。被告は1審の途中から否定に転じたが、DNAの一致を根拠に最高裁までが有罪と認めていた。

   菅家受刑者は2002年、宇都宮地裁に再審を求めたが、08年地裁は請求を棄却。東京高裁に即時抗告していた。今回の鑑定は、この審理の中で出てきたものだ。

   1991年当時の鑑定精度は、たとえば足利市内の男性だけでも、800-1000人くらいは該当者がいるという程度。これが最新の鑑定では10の20乗分の1、つまり地球上の全員を1人ひとり特定できるレベルにある。この結果、別人と出たわけである。

   こうした事例でいつもいわれるのは、「なぜ自供したのか?」だが、概して弱い性格で、きびしい取り調べに自暴自棄になるようなケースが多い。菅家受刑者の兄の話でも、それはうかがえた。

   田中喜代重弁護士は、「85年まで検察官だったが、すばらしい技術だといわれていた。文系は科学に弱いですから。ただ科学鑑定の恐さ。容疑者もDNAをつきつけられて自供しちゃったのではないか」という。

   鳥越が「DNAというのは分かったようで分からない。いったい何なのか」という。

   鑑定の最終結果は月末に提出されるというが、田中は「別人となれば再審の道は開かれるだろうが、事件そのものは時効になっている」

   再審請求が02年。地裁が棄却したのが08年。しかもその理由が、弁護側が提出した菅家受刑者の毛髪が「本人のものかどうかわからない」だったという。裁判所とは何なのか?

   そこへちょうど、ニュースが飛び込んできた。大阪でコンビニ強盗で捕まった37歳の男のDNAが、昨08年12月のタクシー強盗殺人事件現場にあったタバコのDNAと一致したという。この精度は動かないのだろう。

文   ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト
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