草なぎ剛「逮捕」への軟弱コメント 「恐る恐る取材」にも首かしげる

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   週刊誌の編集長は、自分の雑誌が出てから3日間は、大きな事件や事故が起きないでくれと祈っているものだ。そこへ、大事件発生。SMAPのメンバー草なぎ剛(34)が、公然わいせつ容疑で赤坂署に現行犯逮捕されたのだから、文春、新潮、明日発売の「フライデー」には、ご同情申し上げる。

ジャニーズ・SMAPの神通力は?

   署員が駆けつけた際、檜町公園(赤坂9丁目)の芝生の上に真っ裸であぐらをかいて、意味不明のことを大声で叫んでいたという。泥酔状態で、「裸でいて何が悪い」と悪態をつき、手足をばたつかせて暴れたようだ。

   このことはNHKのニュースで知ったのだが、民放も、事件とあっては報道しないわけにはいかないのだろう、ジャニーズ事務所前に集まって、恐る恐る(のように私には見えた)取材をしていた。

   しかし案の定、この事件に対するテレビのコメンテーターたちの軟弱さは、今始まったことではないが、首を傾げざるをえない。

   鳥越俊太郎氏は、夜中の3時の公園には恐らく人が誰も居ないので、これは公然わいせつにはならないのではないかという趣旨の話をしていたようだし、私が昼に見た民放番組に出ていた弁護士も、同様の発言をしていた。

   しかし、この公園は、報道によれば、東京ミッドタウンに隣接していて、周囲にマンションが立ち並ぶ住宅地にあり、繁華街の六本木やSMAPが所属するジャニーズ事務所も近く、深夜でも車の通行が絶えない場所にあるのだ。しかも、草なぎ容疑者が叫ぶ声を多くの人間が聞いている。

   2001年に、同じSMAPの稲垣吾郎が道路交通法違反、公務執行妨害、傷害などの罪で逮捕されたとき、多くの民放テレビ局は、報道を自粛し、報じても「稲垣メンバー」なるわけのわからない言葉を創ってお茶を濁した。今回は、それに比べれば、まだいいほうなのは、ジャニーズ事務所とSMAPの神通力が落ちてきた証拠だろう。

   友人の芸能レポーター梨元勝氏はこう、私にいっている。「礼儀正しくて真面目でSMAPの象徴だっただけに、驚いている。彼が酒癖が悪かったとは聞いていないが、真面目なだけに、鬱屈したものが溜まっていたのかもしれない。これでSMAPが解散することにはならないと思うが、メンバーの規律がバラバラになっていることを象徴する出来事だ。稲垣に次いで2度目だし、人気にも翳りがでるだろう」

   最年少の香取慎吾でも30を超えている。木村拓哉は今年37になる。深夜、大酒を呑み、ふるちんで大声を張り上げるのは、世間知のある大人のすることではない。事務所のタレント管理の杜撰さも問われて然るべきだろう。

社員年収の30倍もらう役員

   今週の週刊誌は、挙って麻生首相の度を超したはしゃぎぶりに批判の目を向けている。ポストは、15兆円のバラマキ景気対策批判を、自民党を離党した渡辺喜美氏にさせている。長期戦略なき景気対策には副作用が大きいとし、赤字国債を大増発したから長期金利が上昇を始め、景気にブレーキが掛かる。日銀の金融緩和も十分ではないから円高に向かい、銀行の貸し渋りも始まるというのだ。

   定額給付金や高速代1000円などに惑わされていると、必ずそのツケを払わされることになる。そのことを忘れてはいけない。

   新潮は、小沢代表が辞任しないために、落ち続ける民主党の支持率に、「もはや『政権交代はない』という『永田町の常識』は本当か」と問うている。文春も、「小沢民主なぜ闘わない」の中で、「今の民主党は脳死状態だ」と批判している。

   トップに立つ人間の決断力のなさが、確定的だと思われていた「政権交代」を危うくしている。現代はそうした風向きの変わったことを受けて、「激変300選挙区 最新当落予想」を特集している。3人の政治ジャーナリストに予測してもらっているが、1人のジャーナリストは、自民党222、民主党197と、逆転すると読んでいる。

   この上、絶対確実と思われている名古屋市長選挙で、河村たかし氏が敗れることにでもなれば、小沢が辞任しても、下落する支持率に歯止めはかからないのではないか。

   今週のお奨め記事は、新潮「『痴漢逮捕』防衛医大教授が『逆転無罪』になるまでの1000日」。痴漢事件は、被害者の証言だけで、ほとんどが有罪にされてしまう。「しなかった」ことを証明することがどれほど難しいことなのかを教えてくれる。最後に、63になる教授が、「愚にもつかないことで生涯をかけてきたことの集大成ができなくなってしまった。それが一番悔しい」と語る。

   朝日の「トップの報酬vs.社員の給料」が必読。日産自動車とソニーの2社は、役員の年収が社員の30倍を超えているのだそうだ。これを見て、怒りに震えないサラリーマンはいないのではないか。立て!日本の労働者。

   もう1本は文春。ミシュランが京都・大阪版を発売すると発表したことに、京都の老舗料亭の店主が、「京都のことは放っといたれ」と怒っている。「ミシュランもくそもないと思うわ。(中略)京都の店は各店の個性ちゅうもんがぎょうさんあるから放っといたれ。みんな流れ星でええんや」。この覚悟、ええですな。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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