2024年 4月 19日 (金)

「ジャニーズもの」への文春の気合い 「草なぎ逮捕」で発揮されたか

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   今週は全部が合併号だと思ったら、現代と朝日は平週号で、5月2日に合併号を出すそうだ。この辺りに、少しでも売れ行きを伸ばしたい各誌編集長たちの思惑が透いて見える。

   SMAP草なぎ剛の公然わいせつ事件は一段落したが、ほとんどの週刊誌が間に合わなかったので、今号で各誌が扱っている。その中では文春のタイトル「草なぎ剛『錯乱』SMAPは死んだ」が群を抜いて目をひく。

長嶋茂雄と三国連太郎の「家庭もの」

   文春は、以前、ジャニーズ事務所のジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑を書いて訴えられ、裁判になった経緯があるから、気合いが違うようだが、中味は意外とおとなしい。新情報は、草なぎが全裸になる前に立ち寄ったバーが「GRAN VIA」という店だったことか。

   新潮は埼玉県内で居酒屋をしている草なぎの両親に話を聞いている(これがなかなか良さそうな店だ)。謝罪会見の後、両親に電話がかかってきたそうだ。父親がこう語っている。「とにかくすみません、ごめんなさいって繰り返し謝るんです」「声だけは元気そうな感じでしたけど、やっぱり落ち込んでいる様子が分かりました。だから、私たちは『大丈夫だろうか。何か変なことを考えなきゃいいんだけど』ということが心配になってね」。草なぎは以前、「僕は親に捨てられた」と語り、私生活を一切明かさないことで有名だったそうだ。さほどの才能に恵まれたわけではない青年が、芸能界という魔界で生き抜いていくためのプレッシャーを、自分の殻に閉じこもることで、何とか凌いで生きてきたのだろう。それも今回のことで、壊れてしまわないだろうか。

   合併号は、売る期間が長いから、じっくり読ませる企画モノが多くなるが、その中でお奨めは、この2本。「長嶋茂雄と一茂 父と子の『葛藤』」(文春)と「三国連太郎・佐藤浩市『変死事件と恩讐の顛末』」(ポスト)

   長嶋も三国も、よき家庭人ではなかったことはいうまでもない。長嶋は脳梗塞で倒れたとき、一茂が「ようやく親父が帰ってきた」と語ったのを何かで読んで、「英雄」を親にもった子供の複雑な思いを感じたものだった。その後、一家を支えていた妻が逝き、長女は父親に反発して実家を離れ、次男もレーサーをしているらしいが、思うようにはいっていないようだ。

   妻亜希子が溺愛した一茂は現在、「ナガシマ企画」をやっているが、父親のキャラクター販売などをめぐって、次女の三奈と確執があるという。1人家にいて、毎日激しいリハビリに励む父親と子供たちとの微妙な距離間。どこの家庭にでもある話だが、何となく切ない。

   三国が3度目に結婚した女性は、神楽坂の売れっ子芸者だった。絵に出てくるような美男美女のカップルに子供が授かる。それが佐藤だ。しかし、いつも不在だった父親は、佐藤が11歳の時、離婚して出て行ってしまう。

   残された母は、小さなバーを出すが、そこで手伝っていた年下の男を家に入れるようになる。佐藤と「胸ぐらをつかみ合うような関係」になり、高校2年のとき、佐藤は家を出て1人暮らしを始める。

   離別から30年。母の年下の男は、神楽坂のアパートで変死体となって発見される。母親は、脳梗塞で倒れ、認知症も始まり、入院生活を続けている。

   その間に、息子も父と同じ俳優になり、1996年に映画「美味しんぼ」で共演する。今では、孫の運動会や卒業式には、三国夫妻が顔を出し、3世代の笑顔が並ぶという。いつの時代も、オヤジの背中は、腹立たしくも懐かしいものなのだろう。

5月15日に「週刊誌」考えるシンポ

   朝日が衆院300選挙区の当落予想をやっている。予測している森田実氏は、小沢問題が自民に有利に働くとして、自民優勢。野上忠興氏は、勢いが落ちたとはいえ、やや民主優勢と見ているが、どちらにしても、単独過半数は難しいとしている点では同じだ。

   ポストは、問題になっている「世襲」に焦点を当て、300選挙区に184人もいる世襲議員には、不景気に苦しむ民の気持ちはわからないと、鋭く批判している。

   解散の時期は、「6月7日又は14日の総選挙」(新潮と毎日)、文春で上杉隆氏は「7・12衆議院 都議選W選挙!」だとしている。

   今週の注目誌はポスト。何と「1万円金貨100名様プレゼント」を謳っているではないか。大盤振る舞いと思ってよくみると、「協力 田中貴金属工業」と隅のほうにあり、特集で、「金」で儲けるためのノウハウを8ページも特集している。これってタイアップ広告ではないの? それでも当たれば嬉しいから、応募してみるか。

   新潮は、今週から編集長が交代した。だいぶ前から決まっていたから、交代第1号目から、新連載が山盛り。中には、福田和也氏の「闘う時評」を新装開店して「世間の値打ち」としたものもあるが、「朝日新聞阪神支局襲撃犯の告白」で大きな汚点を残した新潮の起死回生なるのか。じっくり見ていきたいと思う。

   紅一点編集長の毎日が「バイアグラ10年 女性の証言」という特集をやっている。中味はそこそこだが、女性編集長ならではの企画だ。

   【追記】新潮、現代には、「一連の『名誉毀損判決』に対する私たちの見解」という「社団法人 日本雑誌協会」の意見広告が載っている。読んでみてください。

   5月15日、18時30分から、四谷・上智大学12号館の102教室で「週刊誌のこれからを考えるシンポジウム」を開催します。無料です。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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