脳と金メダルの関係は… あるある?

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   かつて経験則や根性論の聖域であったスポーツの分野にも、不粋な科学が無遠慮に踏み込んでくるこのご時世である。番組によれば、近頃では肉体をコントロールする「脳」に大きな注目が集まってる。脳の働きを計測する技術の進歩などによって、脳と運動パフォーマンスとの関係が少しずつわかってきたんだそうだ。

ゴール意識すると失速?

   そういう話であるならば、テレビのベテラン視聴者として、「コレを食べれば運動能力が100倍アップする」的なソッコー実用法をついつい期待してしまう。が、この番組ではそういう安易な考えはたしなめられる。「いまの脳科学では一部分が見えはじめたところ。『こうやれば金メダルが取れる』といった答えが見えてるわけではない」(ゲストの脳科学者、茂木健一郎)

   そうは言い様、番組は『勝つため』のスポーツ現場の取り組みを紹介していたのだった。その一例が、北京オリンピックの日本競泳陣。オリンピック前、平井伯昌・日本代表ヘッドコーチは悩んでいた。終盤に失速する選手が続出したのだ。体力、技術以外の原因があると考えて、脳神経外科医の林成之に相談した。すると、林は「『ゴールが近い』という意識が失速につながる」とアドバイス。

   実際に、番組で学生4人を集めてゲームをやらせ、「ゴールはまだまだ遠い」「ゴールは近い」と2種類の声かけをすると、前者のほうが前頭前野などの血流量が多く、脳の活動が高まる傾向が見られた。

   林によると、脳はゴールが近いとわかると気(脳?)を抜く仕組みになってるそうだ。そこで、日本代表ではゴールを意識しない意識で練習を重ねたという。

   結局のところ、こうした『脳トレ』意識改革が、オリンピックの結果に対してどれだけ貢献したのかは文字通り計り知れない。番組の言葉を借りれば、とにかく活躍の『一因』だったようである。

   脳にはまだまだ分からないことが多く、確実な方法論はまだ分からない。その一方では、現場の取り組みを効果があったと示唆しつつ紹介する、微妙にアンビバレントな今回の放送。「勝負強さは『脳』が決め手」というタイトルも若干飛躍気味に思えてきた。某局の伝説の大事典ほどではないにしても、だ。

ボンド柳生

* NHKクローズアップ現代(2009年5月12日放送)

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