2024年 4月 18日 (木)

鴻池副長官「酒と女のDNA」論 新潮特ダネ読み応えアリ

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   久しぶりに新潮がやってくれました。昨日(5月13日)の新聞朝刊、それもほとんどの一面に、「鴻池副長官 辞任の公算」(朝日新聞)と出ていました。朝日新聞を含めたほとんどの新聞が、「週刊新潮(5月21 日号)が報じる」と、出典を明らかにしていたのに、読売はいつものように「13日発売の週刊誌によれば」報道。遅れているねこの新聞は(夕刊では新潮と明記していた)。

   私の記憶によれば、週刊誌のスクープが新聞の一面を飾ったのは、『噂の真相』が則定衛高検検事長の女性スキャンダルをスクープした際、朝日新聞が一面でこれを扱って以来ではないか。

副長官が「涙目懺悔」

   今回の記事、「愛人同伴『ゴルフ&温泉』の小旅行でGWを謳歌した『鴻池官房副長官』涙目懺悔録」と長いタイトルが付いた4ページの記事と、「熱海の恋の物語」というグラビアで、仲睦まじい2人の後ろ姿や、ゴルフに興じる姿が掲載されている。

   実は、この御仁、1月にも、議員宿舎に人妻を泊めていたことを新潮に暴かれたのだが、その時は、麻生首相の30年来の友人だったためか、逃げ切っている。

   W不倫、源泉かけ流しの半露天風呂付豪華スイート、ツーサム・ゴルフに食事は百歩譲って、男だものと理解してやってもいいが、熱海に出かけた日の16時からは参議院の本会議があり、翌々日は、新型インフルエンザ問題で、朝8時過ぎから、桝添厚労相や河村官房長官らが官邸で、対策本部幹事長会を開いているのだが、鴻池祥肇官房副長官が旅館を出たのは朝8時30分。それも、熱海駅で切符を買わず、国会議員の特権と批判されている「JRパス」を使って乗り込んだのである。公私混同などというも愚かだ。

   動かぬ証拠を突きつけられた鴻池氏、何とか記事を止めてくれないかと、記者に懇願し、それがダメだとわかると、自分の女好きのDNAの話しを始めるのだが、これが読ませる。

「ボク自身、どうしてなのかよう分からないんだ。ボクには祖父さんの代からのDNAがあってなあ。親父さんも同じで大酒飲みやし、女癖が悪かった。そのDNAがボクにもあるんや。ボクも大酒飲みやし、あのタレントの草なぎと同じように、飲み過ぎては失敗してきたしね」

   その上、男と女の情の不思議さまで講釈している。「いや、男女というのは難しいもんですよ。もうこれ以上はあかんあかん思てても、情が深くなってくるとズルズルとね。毅然としなきゃいかんかったんですよ」

   綿密な取材、当事者からの十分な聞き取りを含めて、久しぶりに新潮らしさがよく出た記事である。これほどのことができるのに、なぜ、「朝日新聞阪神支局襲撃犯」などという虚言癖の男に手もなく騙されてしまったのか。鴻池議員の男女の仲以上に不思議である。

小沢辞任の「秘策」とは

   ゴールデンウイーク中も毎週出し続けたのは朝日だったが、先週号の「続・検察の劣化 徹底検証「『西松建設事件』とマスコミ報道 貝になってしまった『法の番人』たち ジャーナリスト松田光世」「あえて言う『いま小沢が辞めたら民主主義の敗北だ』ジャーナリスト 高野孟」がよかった。朝日本紙ではできない鋭い検察批判を繰り広げ、読む者を納得させてくれた。

   このところ、雑誌を中心に高まってきている司法批判を頼みとして、このまま居座るのかと思われていた小沢一郎民主党代表が、突然辞任。なぜいまなのだろうと疑心暗鬼の中、これは小沢が熟考した末の『秘策』だったと、ジャーナリスト上杉隆氏は文春で書いている。「このタイミングでの辞任で、政府・与党は、予算案を武器にした国会運営をすることができなくなってしまったのである」。ベテランの自民党議員たちは「敵ながらさすがだ。会見の内容といい、タイミングといい、総選挙に向けて、よく練られている」と評価しているというのだ。

   後継代表に鳩山を据え、影の代表として意のままに民主党を動かすのか、岡田が、小沢の鼻っ柱を押さえて、世襲禁止、企業献金廃止、司法を含めた官僚制度の抜本的改革を旗印に、自民党と真っ向から勝負を挑むことができるのか。どちらにしても問われているのは、近々行われる総選挙での、われわれ国民の「良識」であることは間違いない。

   今週の他の注目記事をあげておく。朝日「谷内正太郎・政府代表が語る『核再持ち込みの密約はあった』」。沖縄返還から38年。前外務省事務次官だった谷内氏が、ニクソン・佐藤栄作の間に「密約あり」と初めて語ったことは、もっと評価されていい。

   愛知県・蟹江で起きた一家3人死傷事件の闇は、どこでも扱っているが、文春が詳しい。だが、読めば読むほど不可解な事件である。警察の初動捜査のミスや、生き残ったがために犯人ではないかと疑われる3男。世田谷一家殺人事件を思い起こさせる陰惨な事件は、どう解決するのか。

   豚インフルエンザが猛威をふるう中、日本特有の「イジメ」が続発している。文春によれば、国内初感染かと疑われた高校生が通う学校のHPには、1日約1130万件のアクセスがあり、「入院した生徒は被害者なのに、菌を運んできた加害者的な扱いで報じられ、学校にも心ない苦情の電話が相次ぎました」と、校長が語っている。

   感染が明らかになった大阪府の府立高校にも、「責任とれるんか!」と誹謗中傷電話がかかっているという。今のところは、それほど大騒ぎすることはないのに、パフォーマンス大好きの桝添厚労相1人が、日本人みんな救ってやれるのはオレだとばかりに、後手後手に回る水際作戦などで1人はしゃいでいるようだ。本当に深刻なウイルスが発生するのは、これからだという。いまから日本中がパニックになっていては、肝心の時にどうなるのか。心配である。

週刊誌考えるシンポ

   今朝の新聞を見て驚いた。SMAPの草なぎ剛が5月28日の「SMAP×SMAP」で復帰するというではないか。いくら何でも早すぎる。ジャーニーズ事務所側は、「理解がえられた」からだというが、それは彼のファンたちのことで、世間はそれほど甘くはないはずだ。公然わいせつで逮捕されてから1か月ぐらいでテレビに出すフジテレビの節操のなさは、いくらCMが入らず、経営が苦しいからといっても許されるものではないはずだ。こうした大甘なやりかたは、結局、草なぎ自身のためにもならない。

   最後に、週刊誌界の大変動を書いておく。連休中に、『週刊現代』の乾編集長が交代することになった。任期半ば、1年5か月で編集長を辞さなければならない彼の心境は、察して余りある。

   『フライデー』の仙波編集長も交代するようである。こうした中、明日、5月15日、18時30分から東京・千代田区の上智大学で、「週刊誌を考えるシンポジウム」を開く(無料)。暗い話しばかりの週刊誌だが、編集長たちと、少しは明るい未来について語り合いたいと思っている。 


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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