裁判員ドラマが描き出した 予想される不満と軋轢

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「法廷サスペンスSP(2)裁判員制度ドラマ 家族」(TBS) 2009年5月18日 21時~

   いよいよ今月から始まる裁判員制度、啓蒙ドラマの1つ。認知症の老女が殺されて、捕まったホームレスと老女の息子との複雑な心理のやり取りを、裁判員に選ばれた女性・谷口みな子(大塚寧々)の目線から描いている。心理的どんでん返しのある筋書きを追うのはやめるが、素人の裁判員が、必ず遭遇するであろうツボはきっちり抑えてあったので参考になった。犯人役の笹野高史が熱演。
   例えば、裁判所が選んだ裁判員にも拘らず、いちいち疑問点にダメだしされること。「これでは只の言い訳のために利用されているだけ」と裁判員が不快に思ったり、裁判官たちは「我々を素人だとバカにしている」とムッとしたり、さもありなんと感じるシーンが多かった。しかも、真実の犯人かどうかの疑問さえ抱いてはならず、提出された証拠に基づいて、狭義の審理しかやらせてもらえないとすれば、当然、裁判の中でドラマの様な軋轢が出るだろう。
   冤罪は100パーセントなく、単純明快な事件だけ提示されるとしたら、裁判員制度とは何のためにあるのかと問うている作り手の意思が伝わってきた。ただし、みな子が法廷で質問する度に、思い入れたっぷりの大仰な効果音的音楽が鳴るのには辟易した。これでは逆効果である。劇伴はドラマの邪魔になってはならない。こちらの感情を煽り立てるような煩い音楽では、自らドラマが安っぽいB級だと宣告しているようなもの、耳の悪いスタッフたちである。

(黄蘭)

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