ダメ男がきいた「神の啓示」 大統領の悲劇と魅力(ブッシュ)

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(C)2008 Prescott Productions, LLC All Rights Reserved
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   <ブッシュ>正統派の政治家の家系に生まれ、祖父を上院議員に、そして41代大統領の父をもつジョージ・W・ブッシュ。彼は家業もほかの仕事もやり通せないハンパな青年だった。

   自分は野球関係の仕事に就きたいというが、全くあてがない。しかも政治家の父親のコネで警察から釈放してもらい、恋人の妊娠疑惑をもみ消してもらうダメ男ぶり。しかし40歳のとき父の誘いで大統領選を手伝い、それ以後政治家として精をだし、地元のテキサス州知事にもなる。順調なある日、彼は神の啓示を聞く「お前が大統領になるのだ」と。

   オリバー・ストーン監督がブッシュ(ジョシュ・ブローリン)に関するできごとを調べ上げ、実際の発言を合わせて、少々の創作を加えて作った大統領映画。就任直後の9.11後、イラク戦争を指揮するがうまくいかない様子と、元大統領の偉大な父を超えることができずギスギスした親子関係の様子。政治家としてのブッシュ、一家の長男としてのブッシュ、2つのブッシュの魅力と悲劇がミックスした群像劇だといえるだろう。

   多くの戦争映画を扱ってきたオリバー・ストーン監督。今回の「ブッシュ」も過去作「JFK」同様、とにかく作戦会議の場面の描写は、精密でリアルでそして長い。ライスやチェイニーなど当時の大統領メンバーが集まる会話は一瞬の沈黙や破綻もなく、延々としゃべり続け、もう誰もみることのできない当時の会話を見事に再現している。もちろんブッシュのKYぶりも演技として完璧である。

   個人的にはパウエル国防長官(ジェフリー・ライト)のストイックな役作りに惹かれた。あのつぶしたような顔にメガネに白髪、冷静な態度と逆の熱い軍人魂。あまりにキャラが立っているので見ればクラっといくと思う。劇中は会議で他のメンバーと違う意見をもち孤軍奮闘する彼の姿が窺える。間違いなく、有名人映画史に残る一作。

ユウ・ミサト

   オススメ度:☆☆☆☆

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通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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