岸惠子へ「1種のセクハラ」 NHKに望むこと

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「プレミアム8 100年インタビュー 岸惠子」(NHKハイビジョン) 2009年5月28日 20時~

   森光子のような文化財(?)級の人は別として、第1線で活躍している女優に年齢を根掘り葉掘り聞く必要はない。岸惠子は依然として若く美しいのに、何故76歳と言わせるのか。これは1種のセクハラである。聞き手の石澤典夫アナが、年齢を聞くくだりでニヤニヤしていたのは失礼である。ま、これは置いておいて。
   1ドル360円時代に、トランジットで何十時間も飛行機を乗り継いで、たった1人パリへ旅立った岸惠子は強い女である。だから、彼女は世界の辺境の地に強い関心を持って取材にも行く、優れたエッセイストでもある。夫、イヴ・シアンピ監督が超セレブな文化人であったために、アンドレ・マルロー、ジャン・コクトー、サルトルとボーボワールなどキラ星のごとき客人を自宅に迎えて、20代の頃に啓発されたことが、今日の岸惠子を、ただの美人女優から一線を画す教養人たらせる基盤になっている。
   残念ながら日本のメディアには西欧的文化に造詣の深い知識人が枯渇しているので、彼女の資質を活かせるフィールドがない。勿体ないことである。ナチス占領時代のパリに進攻した連合国側の従軍将校でもあったシアンピ氏との歴史だけでも、もの凄い物語である。NHKが、ただ1回だけのインタビューに終らせず、岸惠子的生き方とでも名付けた、壮大なドキュメンタリードラマにしてくれないものだろうか。激動の昭和の体験者が次々に亡くなりつつあるから。

(黄蘭)

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