「大騒ぎ」ピアノコンクール優勝 日本の特殊状況とは

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「報道ステーション」(テレビ朝日) 2009年6月8日 22時~

   各局で大騒ぎの、全盲の辻井伸行ヴァン・クライバーン・ピアノコンクール優勝のニュースがトップ。古館伊知郎が生中継でピアニストに祝福のコメントを送った。絵になる素材なので当然であるが、今回の優勝は戦略勝ちである。指導者の上野学園教授・横山幸雄が自身の経験からコーチしたと思われる。
   横山は芸高在学中、毎日・NHKの日本音楽コンクールで予選落ちした。頭にきて藝大に進まず、いきなりパリ音楽院に入った。日本のコンクールではミスは絶対許されない。だから、ノーミスだが、面白くない演奏者が勝つ場合もある。辻井の演奏を聴くと、全盲であれだけ暗譜打鍵するのは驚異的なことではあるが、音を外したり細かなフレーズで内声部の音をすっ飛ばしたりしている。決して完璧な演奏ではない。それでも優勝した。メディアは騒ぎ過ぎである。
    全体としてエキサイティングだったのだろう。アメリカの聴衆はノリで聴く。毎コンに出ていたら、多分本選まで進まなかったはずだ。欧州でも然り。かつての辻井は特異な見世物だった。風采は上がらず、首を振りふり、教育ママに引き回されて演奏する子供芸人と見られていた。梯剛之やヴァイオリンの和波孝禧ら盲目の演奏家をチヤホヤする風潮を毛嫌いする人たちもいた。今回の優勝で日本のメディアや聴衆は掌を返す。だが、肩書きだけで生きられるのは、これまた日本だけで、外国では今後の精進が問われるのである。

(黄蘭)

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