「パワフル」松山ケンイチ あり得ネーけど引き込まれる(ウルトラミラクルラブストーリー)
(C)2009「ウルトラミラクルラブストーリー」製作委員会
<ウルトラミラクルラブストーリー>主人公のヨウジン(松山ケンイチ)は、青森の海辺の町に住む25歳。子どもの心のまま大人になった彼は、あたたかい周囲の人々(渡辺美佐子、原田芳雄)に見守られながら、家の前の畑で野菜を育て、生計を立てている。
そんなある日、ヨウジンは東京から引っ越してきた町子(麻生久美子)に出会い、恋をする。すぐに自分の気持ちを伝えるが、事故死した浮気性の元カレのことをまだ引きずっている町子は困り顔。けれど、そんなことはおかまいなしにヨウジンは「町子先生、結婚して」と猛烈アタックを続ける。
物語の前半は、「何をしでかすかわからない」まるで幼い子供のままのヨウジンの言動に、観ている者は目が離せない。キャベツにつく青虫に四苦八苦したり、野菜を売りに行った先で客と大ゲンカしたりするシーンは思わず笑ってしまう。
しかし物語の後半、とあることがきっかけで農薬を浴び続けたヨウジンは、なんと志半ばで死んでしまう。だけどこの物語は、そこからが「ウルトラ」「ミラクル」なラブストーリーなわけで。ありえない展開に、観ている者は「そんなアホな」とか思いながらも、あっという間に引き込まれていく。
監督は、前作「ジャーマン+雨」で2007年度日本映画監督協会新人賞を受賞したまだ30歳の横浜聡子。物語の舞台である青森は、彼女の故郷でもある。
また、主演の松山ケンイチも青森出身。早口の津軽弁を駆使し(正直、字幕がほしかったくらい)、からだ全体で感情表現をするパワフルな主人公を見事に演じきっている。
観終わった後は、愛や命についての監督の思いが、さりげなく伝わってくる。<テレビウォッチ>
バード
オススメ度:☆☆☆