2018年 7月 22日 (日)

「硬直」裁判の恐るべき実態 すっぽり抜け落ちた「常識」

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   <テレビウォッチ>今回のタイトルは「えん罪はなぜ見過ごされたか」。もちろん、足利事件についての検証である。犯人として無期懲役の罪に服していた菅家利和さんは、さきごろ17年ぶりに釈放された。

   番組の検証は前半は捜査段階、後半は裁判について。前者では、捜査陣の「焦り」が指摘された。事件の起きた足利市では、それまでにも2件幼女の誘拐殺人事件があり、犯人検挙へのプレッシャーが、厳しい取り調べ、虚偽の自白を招いたのではないか――。

足利事件とDNA鑑定

   不幸なことには、当時の最新技術DNA鑑定で、現場の遺留品と菅家さんのが「一致」してしまう。この鑑定の精度については諸説見てきたが、番組では800分の1と紹介。捜査関係者はこれで「鬼に金棒」と思ってしまったのだという。

   裁判になっても、冤罪は見過ごされ続ける。家族への手紙では「無実」を訴え続けていた菅家さんは1 審の途中から否認に転じた。しかし、その主張は弁護士にも裁判官にもあまり顧みられなかった。無実の主張は「家族に見捨てられないため」(1審の裁判官)の方便と受け取られてしまったという。

   無実の見逃し、エラーはまだまだ続く。弁護団が独自のDNA鑑定で、現場遺留品と菅家さんの型は一致しないとの結果を得ても、最高裁はDNAの再鑑定を拒否。有罪確定後の宇都宮地裁への再審請求も却下された。その理由は、菅家さんのものとされた毛髪が「本人のものとは限らない」からだったという。

   「(自分の)髪を取ったり、血液を採ったりで簡単に調べられるのに、完全に無視ですよ。門前払いですよ」と菅家さんは憤る。

   鑑定を却下した宇都宮地裁の行為は、「弁護の余地がない。大変に残念なことでした」とスタジオゲストの元裁判官、木谷明・法政大法科大学院教授から厳しい意見がつけられた。

   「真実を知るのは被告人。その言葉が本当かもしれない、という思いで耳を傾けなければいけない」。冤罪を防ぐには、と問われた木谷教授の言葉。こう書くと当たり前の話のようだが、なんとこうした考えは裁判官のなかでは少数派なのだそうだ。迅速に、効率的に、検察の主張を認定するのが、今日的な裁判のあり方なのだろう。

ボンド柳生

   * NHKクローズアップ現代(2009年6月23日放送)

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