月の「古文書」で分かること 「かぐや」の成果とこれから

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   <テレビウォッチ> 日本の月探査機『かぐや』は2009年6月11日午前3時25分、1年半に及ぶ観測を終了し、月面に落下した。高度 100キロの軌道を回っていた『かぐや』は、09年2月以降、50キロ以下に高度を下げ、低い軌道で撮影した映像を38万キロ彼方の地球に送りつづけた。

   番組は先ず今日(6月25日)公開された月面の最新映像を見せる。天体衝突の反動で盛り上がって出来た直径84キロの<ティコ・クレーター>、その中央丘の高さは2480メートルもあるという。<賢者の海>は、宇宙からの粒子が降り注いだ所が黒ずみ、強い磁力が働いている所は粒子が当たらないため白いまま渦巻き状で残り、不思議なうねり模様を描く……。4.8メートル、3トンの『かぐや』が搭載する地形カメラは上空100キロの高さから10メートルのものを鮮明に写すという。その『スグレモノ』が捉えた月面は、迫力があって幻想的だ。

解析は始まったばかり

   ついで、『かぐや』の観測データがもたらした成果のいくつかが紹介される。(1)月の重力は表側(地球から見える方)で強く、裏側で弱いことが判明し、その結果は『かぐや』自身の軌道修正を助けた (2)レーダーサウンダー(スタジオゲストの渡部潤一・国立天文台准教授は、地下を探る魚群探知機のようなものと話す)観測で、月面の溶岩層の下にもう1つの溶岩層があることが示され、「1億年の間をおいて2回、溶岩が出ていることから、月の歴史がわかってきた。46億年前からの歴史を閉じ込めた月という『古文書』を読むことで、一旦ドロドロに溶けて初期の歴史を失った地球のこともわかる」(渡部) (3)極地の地形を調べ上げ、南極が有人基地に適いそうなことを明らかにした。

   (3)については、佐々木晶・国立天文台教授が次のように説明する――南極には、1年を通して太陽光が当たらず、非常に温度の低い『永久影』と呼ばれる場所があり、氷の存在を推測させる一方で、その傍に1年のうち320日近く太陽光が当たる白夜地帯がある――そこに有人基地をつくれば、豊富な太陽エネルギーと水の両方を活用できるというわけだ。

   『かぐや』の活躍は「あとにつづく新たな探査に生かされている」(ナレーション)。6月19日、NASAが打ち上げた探査機『エルクロス』は、永久影にロケットを衝突させ、地中の物質を舞い上がらせて水を見つける使命を帯びているらしい。渡部によれば、アメリカは、有人月面基地を拠点に火星探査を行う予定だそうだ。『かぐや』が利用された気がしないでもない。

   それはともかく、「『かぐや』のデータ解析は始まったばかり」と国谷裕子キャスターは言う。そして「どんな発見があるか楽しみです」と結んだ。

   深夜、管制室に集まり、予定地点に『かぐや』を落下させることに成功し、拍手して達成を喜び合う研究スタッフたちの姿が印象的だった。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年6月25日放送)

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