「初の3ッ星」傑作ドラマ 「刑事」渡辺謙の熱演

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「刑事一代~平塚八兵衛の昭和事件史~第2部」(テレビ朝日) 2009年6月21日 21時~

   村越吉展ちゃん誘拐殺人事件の犯人・小原保(萩原聖人)が、2年間も頑として自供しなかったのに、多くの刑事たちのシロ説を覆して、八兵衛(渡辺謙)が白状させるまでの圧倒的な取調べのシーンは、テレビドラマ史に残る名場面となるに違いない。渡辺の熱演と同時に記憶されるべきは、小原役の萩原の、いじけてズル賢くで、屈折した犯罪者の心理の移り変わりをしたたかに演じた個性である。
   現実に小原が自供した日、筆者はテレビ画面の速報ニュースを目撃して、ある種の感慨をもった。時代の移り変わりが速くなりつつあったが、吉展ちゃん事件だけは気懸りな犯罪で、既に跋扈していた人権派弁護士がなんと批判しようが、アリバイに疑義が生じた以上、早く解決して欲しいと願っていたからである。
   小原の郷里での場面場面の、「窒息しそうな田舎の風景」が納得できる。緑濃い田園風景は、一見人が少なくて開放感があるように見えるが実は違う。よそ者は目撃されると一発でニュースが走り、何処の誰それの倅だの娘だのが帰ってきたなどと噂されるのだ。こうした心象も伴う風景をきっちり描くことによって、小原の犯罪に、より強烈な闇の部分を感じさせる効果があった。上手い演出(石橋冠)である。ガンで憤死する同僚刑事(高橋克実)も印象深い。
   落しの八兵衛、鬼の八兵衛、平塚を、徒に賞賛するだけの脚本でなかったのが良い。「人間臭い刑事ありき」が、より胸に響いた。

(黄蘭)

採点:3
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