燃料電池車を切り開く言葉 「技術の前では誰もが平等」
<テレビウォッチ> ガソリン車の後継技術は大きく分けて2つ存在する。1つは電気自動車。そしてもう1つが、今回のプロが研究している燃料電池車(FCV)だ。ガソリンの変わりに水素を燃料とし、それを燃料電池に送り電気を発生させる。今回のプロフェッショナルは燃料電池車を開発するホンダの技術者・藤本幸人。
燃料電池車の燃料として研究されている中心は水素だ。水素を電気に変え、電気でモーターを回し車の動力源にする。排気ガスはゼロで、水しか発生しない。
番組では栃木県にあるホンダの施設での様子が多く写っていた。メーカーの秘密事項が山積みなのだろう。映像にはかなりの数のぼかしがかけられていた。新しいモノが生まれようとしている空間はやはり見ていて刺激的だ。
新しいモノ・技術だからこそ、生み出す力の大きさが試される。藤本の仕事の流儀は「技術の前では、誰もが平等」。
「技術開発にとって、上司部下とか社長から、今日入った新人までそういうの関係なく、正しい技術は正しいっていう考えって必ずいるんだと思うんですね」
それが誰かの独裁や、政治的な圧力でねじ曲げられたりすると技術は死んでしまう。本当の革新とは平等でしがらみのない場所からしか生まれ得ないのだ。
番組を見ていて印象的だったのは、開発車両が左ハンドルであること。世界で走っている車は圧倒的に左ハンドル車なのだから当たり前だが、世界をリードする車を世界規格で造りあげているという背景を垣間見ることができた。番組中では藤本がテスト車両をドイツに持ち込み、テストしていた。
ドイツが誇るポルシェ・フォルクスワーゲン・アウディなどが石畳の道やアウトバーンを疾走する日常。そのクルマが生まれた国で、日本の次世代のクルマを日本の技術者がテストする。その様子に少し感動した。日本が誇る技術が世界のデファクトスタンダードになっていくであろう様は、やはり嬉しい。
がくちゃん
*NHKプロフェッショナル 仕事の流儀(2009年6月30日放送)