「夫婦愛ドラマ」で良かったのか 松本サリン事件と「メディアのミス」

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「金曜プレステージ 実録・松本サリン事件」(フジテレビ) 2009年6月26日 21時~

   無条件で河野義行氏は偉いと思う。松本サリン事件で警察とメディアの両方から容疑者扱いをされて、匿名の嫌がらせ電話にも耐えながら、尚且つ、家族のために毅然と無実を主張し闘った。常人の神経ではノイローゼになるだろうに、約1年後、地下鉄サリン事件が起きるまで彼は孤軍奮闘した。強靭な精神力である。脱帽する。 だが、このドキュ・ドラマの出来に対する評価は別ものである。ドラマ部分での河野氏を石黒賢、妻の澄子氏を松下由樹が演じ、良く知られた夫婦愛を描いている。ところどころに15年前のニュース映像が挟まれ、また、現在の長男や次女も登場する。文句のつけようがない展開なのだが、何か引っ掛かるものがあるのだ。
   河野氏たちに関してではない。長男が、オウム真理教で刑に服して出所した男を、河野氏が分け隔てなく家に出入りさせていることに違和感を感じるとはっきり口にしている場面も映しているのだから、問題提起もしているとは言えるが、1点非の打ち所のない愛妻物語に特化し過ぎたためか、感動の押し付けを感じないでもない。ニュースで日本人はこの夫婦のことは良く知っているのであるから、敢えて今更、夫婦愛情物語にすることはなかったように思う。
   それよりもっと、彼が疑惑と闘った時間的経過を厳密に追い、官憲側とメディアが致命的なミスを起こした原因を、情緒的にでなく、分析して提示してもらいたかった。つまり安っぽかったのである。

(黄蘭)

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