「アヘンからイチゴ」で対抗 アフガンとオバマ

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   <テレビウォッチ>2日間シリーズ「混迷のアフガニスタン」の1回目は「~オバマの新戦略~」と題して、アメリカ軍の大規模増派後の現状を現地から伝えるリポートであった。

   タリバンの復活などで治安は悪化、空爆で民間人に被害が出て、反米感情が高まるなかで増派――では、さらに問題が泥沼化するのではないかとの懸念もあった。しかし、できの悪い西部劇に出てくる無邪気なガンマンじみた前任者とは多少趣が違ってきたようだ。

現地軍の人材育成

   シンクタンクのセンター・フォー・アメリカン・プログレス上級研究員であるローレンス・コーブが言うことには、軍では、自分たちが危険な状況にならない限り、空爆をするなとの指令が出たという。またオバマは「単にすべての武装勢力を殲滅させるのではなく、武装勢力に対抗する戦略」を取っているという。「対抗」の意味は、およそ以下のようなことらしい。

   番組が最初に取り上げたのは、アフガン軍の人材育成であった。カブール郊外のアフガン一の大規模軍事訓練施設では、アメリカ軍が中心となって、新人にアメリカ式の軍隊教育を施していた。アメリカの指導のもとで、アフガン人によるアフガンのための軍隊に力をつけさせつつ、「戦争のアフガン化」を進めていくというわけだ。

   2つ目は、インフラや農業などの開発支援。当地ではタリバンの資金源となる芥子(アヘンの原料)の栽培が盛んだが、これを付加価値の高い果物などに換えさせ、タリバンの兵糧を絶つ狙い。

   イチゴ栽培の研修を受けた農家は「イチゴのほうが芥子の2倍以上稼ぐことができるんですよ」とうれしそうに話したが、イチゴが芥子を駆逐するのは簡単ではない。普及させようにも治安が悪いため、それを守る軍隊の派遣などとセットになる。

不信強く援助拒否も

   番組が取材した、ある村の有力者会議。そこではアメリカの援助を受け入れるかどうかが話し合われていた。

「我々は芥子の栽培をやめ、テロリストの侵入も防いだ。それなのに、テロリストがいるといって我々を攻撃する」
「復興支援を広げるというが、同時に軍隊を増やすというではないか」
「アメリカがこの国に居る限り、アフガニスタンの状況はよくならない」

   アメリカ(軍)への不信はそれほどまでに強く、最終的に援助を受け入れない結論になったという。

   番組を通して、オバマの新戦略も前途多難だとして、重苦しい雰囲気だった。それでも「敵の殲滅」一辺倒の時代にくらべれば、アフガニスタンの平和やアメリカのモラルと良心、名誉回復といったものに向けて、半歩ぐらいは前進したのではないかと、少しは楽観できなくもなかった。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2009年7月7日放送)
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