2024年 4月 19日 (金)

女性・ギャンブル… 無頼派棋士と「強烈な努力」

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   <テレビウォッチ> ことし(2009年)5月に亡くなった藤沢秀行名誉棋聖は50代で前代未聞の棋聖戦6連覇、67才で王座タイトル防衛と、年齢を感じさせない強豪ぶりを誇った。

   一方で、「囲碁界最悪の酔っ払い」「ギャンブルで穴をあけた借金王」「数々の女性問題」(いずれも国谷裕子キャスターによる)など賑やかな話題も振りまいた伝説の棋士。破天荒な生き方をした『無頼派』はまた幾多の有力棋士を育てたことでも知られる。番組は、名教育者としての『秀行先生』(弟子たちの呼び方)を、その残した珠玉の言葉とともに振り返った。

弟子には厳しく

   ナレーションが名言のいくつかを読み上げる。

   「定石はずれ大いに結構。定石を後生大事に守ると新しい発想が生まれず進歩も何もない」

   「計算のできる人生なんておもしろくもなんともない。危険な芽を摘むことは可能性の芽も摘むことでもある」

   名言は、奔放な私生活に通ずるところもあって思わず頬が緩むが、それはともかく、大変な努力家であったようだ。若いときは、朝5時から碁盤に向かい、あらゆる分野の本を貪り読んで自分を磨いたという。「血ヘドが出るほどの厳しい修行で逆境を跳ね返す強い心を持ってほしいと弟子たちには厳しく接していた」(ナレーション)。

   神奈川・湯河原市の民宿で1年に2回、20年以上つづけられた研究会、「秀行塾」の激しさは有名。1999年、秀行先生73才当時の姿が映される。「話にならない、碁のうちに入らない、こいつらの碁は」「もう次だ。これは碁じゃない」。若い棋士に次々と罵声が飛ぶ。この塾で薫陶を受けた若手のホープ、村川大介5段は「勉強していないと先生にはわかるようで、僕も見すかされて叱られた。僕を強くしたいという思いで叱っていると思っていたので、叱ってもらうことは苦にならなかった」と懐かしがる。

弟子たちへの最後のメッセージ

   スタジオゲストの武宮正樹9段はこう語る――その人がどういう気持ちでその1手を打ったか、先生は瞬時に感じる。貧相な、卑怯な、臆病な、心ない手を打ったときには烈火の如く怒る。悪い手であっても、そこに美しさがあれば逆に褒めてくれる。碁は勝ち負けじゃない、芸だ。心を磨け、人間を磨け、といつも言っていた――

   3度のがんを患いながらも若手育成に情熱を傾けてきた秀行先生だが、ことし2月体調悪化で入院。病室には毎日のように弟子たちが訪れる。かつて国境を越えて教えに赴いた中国、韓国からも見舞い客が駆けつけた。話すこともままならなくなった4月、老師は腕に点滴をつけたまま、筆をとる。迫力ある文字で遺された言葉は「強烈な努力」。弟子たちへの最後のメッセージだった。

   目先の総選挙の勝ち負けに拘って動く政治家たちの目には「たかが碁の世界のこと」と映るのだろうか。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年7月9日放送)

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