ミーハーじゃない日食 「46年ぶり」の意義

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   <テレビウォッチ>日本で46年ぶりとなる皆既日食前夜の「体感 皆既日食の神秘」は、前夜祭のごとき雰囲気の放送であった。民放のワイドショーなどでは、日食に縁が深い沢尻エリカ夫妻の動静が伝えられたり、悪石島のツアー客にインタビューしたりしていたのだが、この番組は我関せずというふうに独自路線を行く。

コロナ観測の絶好機会

   国谷裕子キャスターはスタジオを飛び出し、向かった先は、悪石島や奄美大島や上海――などではなく、仙台天文台のプラネタリウムだった。ここでは、奄美大島に設置した特殊な360度全天撮影カメラを使って、皆既日食をナマ中継するイベントが予定されていた。また、過去の日食映像を映写しつつ、国谷とゲストのマンガ家、松本零士がいまひとつ噛み合わないトークを繰り広げていた。

   日食の仕組みは、小学校教師が発案した「ユニークな授業」の取材をして語らせる。教師は直径4センチメートルのボールを用意し、生徒には同じ縮尺の地球(4mm)と月(1mm)の模型を貼り付けた紙を渡す。「地球」を目に近づけ、太陽が月に隠れるポイントを探させる。それには約40mも離れなければいけないと知った生徒たちは、地球と月と太陽の距離と日食の「神秘」を体感して、驚きの声を上げる次第である。

   また、日食の「研究」的側面も見逃せない。皆既日食時に見える太陽の「コロナ」。高温のガスだが、その正体はよくわかってないそうだ。普段の観測では、太陽の光が強すぎるために、全体像を観察することができない。国立天文台の准教授が語るところでは、皆既日食はコロナを観測する絶好の機会でもある。アマチュアの協力も仰ぎ、世界中から出来るだけ多くのコロナの連続画像を集めて、太陽の謎を解き明かす貴重なデータにしようと目論んでいるそうだ。

   結局のところ、お値段ウン十万円の人数限定上陸ツアーは天気の悪戯に翻弄されるなど、お祭り当日はから騒ぎ気味で終わった感もなきにしもあらずだが、それと「科学的成果」や「教育的効果」はまた別の話である、とでも言いたげな今回の番組であった。

ボンド柳生

* NHKクローズアップ現代(2009年7月21日現在)
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