「1円」落札の子犬も ゆがむペットブーム

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   <テレビウォッチ>家庭で飼われている犬は1300万匹。単純に計算すると5軒に1軒の割で飼われている勘定だ。このペットブームに変化が起きている。

   熾烈な価格競争のしわ寄せを犬たちがもろに受け、満足に餌ももらえず衰弱死するケースが出ているという。

販売業者が乱立

   また、安易な理由で飼育を放棄する飼い主も後が絶えず、年間10万匹が処分されている。

   「もう耐えられないワン」と吠える哀れな犬たち。これ以上増やさないためにどうしたらいいか。番組では、動物愛護団体代表の野上ふさ子が出演し、「愛犬は家族の一員」というブームの『影』の部分に光を当てた。

   ブームの中、右肩上がりで成長し今や1兆円規模にまで膨らんだペット市場。が、その市場が今ガタガタと音をたてて崩れている。

   販売業者が最近、人気のトイプードルをネットオークションのセリにかけたところ、これまでなら15万円~20万円ですぐ値が付いたのがなかなか入札者が現れず、結局4万円で落札された。

   原因は販売業者の乱立。とくに店を構える必要のないネットオークションへの新規参入が相次ぎ、その分価格を引き下げて販売することから、市場は熾烈な価格競争の様相を呈し、中には1円でセリに出された子犬もいた。

   この価格競争のしわ寄せを受けているのが犬たち。福岡県太宰府市で今2009年2月、犬の繁殖業者が摘発された。

   繁殖施設に20匹を超える犬が衰弱死しているのが見つかったという。

   この業者は40年以上にわたり犬を繁殖させてきたが、経営が行き詰まり、犬が病気になってもお構いなし。餌を満足に与えずに繁殖を繰り返し、子犬を大量に増やしていた。

何度も生ませる「子犬工場」

   繁殖犬に十分餌を与えず、年に何回も子犬を産ませるのをパピーミル(子犬工場)と呼ぶそうだ。

   そんな悪質業者や産まれた子犬が売れないと餌代節約のために処分に出す業者など他県でも後が絶えない。

   しかも、非難されるのは業者ばかりではない。パピーミルが横行するのも、日本では9割以上の飼い主が子犬を極端に好むのが原因という。

   また、ブームに乗って飼ってはみたものの、安易な理由で飼育を放棄。今や年間10万匹が自治体によって処分されている。

   キャスターの国谷裕子はタメ息をつきながら「4年前に動物愛護法が改正され事態改善への方向づけがされたのではないんですかね~」と。

   これに野上は

「長年、規制強化を求めてきたが、残念ながら前回の改正ではそのうちの半分は実現しなかった。取りわけ欠けている点は、取扱業者の基準が曖昧で、具体的に適用できないところにある。行政は基準に基づいて立ち入り調査するが、事前予告して行くため業者の思惑通りスルーしてしまう」

   問題の繁殖の回数も、日本の基準は「適切な回数」と曖昧で、年に2~4回産ませると体がボロボロになり、処分されるという。

   年に1回、一生に6回と決められているイギリスとは雲泥の差だ。

   野上は「これほど大量繁殖、大量放棄が行われているとは分からない、犬を飼うリスクも分からないで飼ってしまう。飼う側の意識の向上、モラルの向上が大事ですね」と訴える。

   確かに、こうしたペット虐待を放置したままで、ペットに癒しを求め「愛犬は家族の一員」などといえるのか。どこか歪んではいないだろうか……

モンブラン

   * NHKクローズアップ現代(2009年8月5日放送)

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