裁判員制バラ色報道 抜け落ちた問題点

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「裁判員裁判に関するニュース」(各局) 2009年8月3日 1日中

   東京地方裁判所で始まった全国初の裁判員裁判について、この日の各局ニュースはトップ項目で詳しく取り上げた。いずれもCGを使った立体的な法廷内の説明がわかり易く、国民参加の裁判に関するメディアの興奮振りがよく伝わってきた。解説者の中では、「スーパーニュース」の現場要員であったフジテレビ解説委員の箕輪幸人が、語り方が物静かな上に無駄な言葉のない的確な内容でピカ1。
   筆者が見た限りでは、メディアの指摘がなかった気懸りな点が1つ。抽選に外れた人で、顔を晒すことに同意した男性らを別として、基本的に裁判員は人物を特定されない決まりである。しかるに、呼び出された段階から、テレビカメラは地裁に入る彼らを執拗に追っている。勿論、下半身だけの顔なし映像ではあるが、海千山千のマスコミ人が、その気になれば人物の特定など朝飯前であろう。
   そこから、一般人にも知られる懸念はある。これではたして裁判員たちの不安を払拭できるのか。犯人側の親族による逆恨みとか、逆に遺族側の不満のターゲットになるとか、いずれにしても、本来、当該事件に何の関係もなかった一般人が、たまたま裁判員に当ってしまったために、もし何らかの不条理な不利益を蒙ることがあれば問題である。世の中、まともな常識人ばかりではないのである。
   この日の報道が「よかった、よかった」とバラ色トーンで終始したことは、余りにも能天気である。性善説ばかりでは危ない。

(黄蘭)

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