2024年 3月 29日 (金)

酒井法子と夫の愛人「同居」 現代「仲間が全告白」が面白い

   「のりピー覚醒剤事件」で、テレビや雑誌、新聞までが大騒ぎだが、その陰に隠れて、同じ時期から始まった裁判員制度が話題にならない。

   1回目の傷害致死罪では、裁判員のうち5人が女性だったことで、裁判所側の、何が何でも無事に終わらせるという「意図」を感じさせた。途中、1人が体調を崩して交替するというハプニングがあり、予想外に厳しい判決が下ったことにも「批判」は出たが、何とか終了した。

「重くて苦しい」裁判員制掘り下げろ

   しかし、全国で2回目の殺人未遂事件では、判決言い渡しの後に開かれた記者会見で、裁判員から、こんな言葉が飛び出している。

「『(他の裁判員が)これから有罪か無罪かを決めることを考えると、非常に重くて苦しい制度だなと思う』。有権者から無作為に選んで審理に参加させる仕組みについて『苦労を強いている。回数を積み重ねることでみえた課題は、改善していただきたい』と要望した。(中略)他の裁判員や裁判官と話し合った内容は明かしてはならない決まりだ。4番(裁判員は番号で呼ばれる=筆者注)の男性は『守りたいとしかいえないと思いますが、まあ、どうでしょうかね。つらいところです』と実感を込めた」(8月13日の「アサヒ・コム」より)

   早くも厳しい守秘義務を課していることへの疑問が、裁判員側から呈せられたのだ。また、記者から、裁判長はこの日の法廷で、被告に「十分やり直しがきく」と説諭したが、「裁判員のみなさんの気持ちを代弁した言葉か」と質問すると、裁判員の1人が「言っていいんですか」と、問い合わせるように職員へ視線を送った。すると職員が首を横に振るような身ぶりを見せたので、裁判員は「控えさせてください」と口を閉ざした。

   裁判員制度への疑問は多くある。まず、記者会見に臨んだ裁判員たちの名前は公表されていないが、顔写真が公開されてしまうのはなぜか。これでは、友人、知人に知られてしまうことはもちろん、裁判員のプライバシー保護という観点から大きな問題がある。

   裁判長が、被告に対して思いやりのある言葉をかけたようだが、それが裁判員の総意であったかどうかというぐらいのこともしゃべっていけないのでは、何のための記者会見なのか。1人が、「(守秘義務は)守りたいとしかいえないと思う」と答えているが、本音であろう。どこまで守秘なのかの線引きをしないと、大きなプレッシャーを抱えたまま裁判員経験者は生きていかなくてはならない。そんなことが憲法上許されるのか。

   これでは何のための国民の司法参加なのか。裁判員の1人がもらした「非常に重くて苦しい制度だ」という言葉の重みを、新聞はもっと深く取材して書くべきだと思う。だが、司法に飼い慣らされてしまった新聞にそれを望むのは無理なことか。


元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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