中居正広のニコニコ顔 戦争の何を伝えたか

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「忘れないで、わたしたちの戦争~中居正広が聞く戦場の声」(NHK) 2009年8月14日 19時30分~

   毎年この頃になると繰り返し放送される太平洋戦争ものが、ほとんど出尽くしてネタ切れになったので、今年は変化球だ。若者を沢山スタジオに集めて、司会は人気の中居正広。ゲストは戦争体験者の金子兜太(俳人)、奈良岡朋子、五木寛之。
   一般人の戦争体験をVTRで流すと共に、当時のニュースフィルムで爆撃の様子などが伝えられる。ただ、既に繰り返し見た記憶のある神宮外苑の学徒動員のシーンなどが多く、体験者の話の方がより強く訴えかけた。いずれも年配者ばかりの上に、NHKの取材だというので、家の中なのに体のサイズが違ってしまった背広にネクタイの一張羅姿もいて、一抹の哀れさを感じたのだ。体験を語れる人たちも超高齢になり、歴史の伝承も風前の灯である。
   五木寛之が語った戦時の魔がなるほどと思わせた。「戦争は人を残虐に殺すだけでなく、人を不思議な陶酔感に誘い込む恐ろしい『魔力』がある」との言葉は傾聴に値する。「欲しがりません勝つまでは」と1億人を標語で駆り立てた戦時中の高揚感は、何だったのだろうか。こういう企画はNHKでしかやれないし、努力は買うが、司会の中居はまるで普通のバラエティの進行時と同様、終始ニコニコしていたのは違和感があった。今やゲームのバーチャル世界で戦争物にうつつを抜かす若者が多い。実際の血を見ない殺し合いに洗脳された彼らに、本当の恐ろしさを理解させるのは至難の業である。

(黄蘭)

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