「日本はおくれとった気配」 アジア中間購買層への戦略

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   <テレビウォッチ> だれが名づけたか知らないけれど「ボリュームゾーン」と呼ぶという。30億人を擁する巨大市場に膨れ上がったアジア経済圏における新しい中間購買層のことである。

   年収45万円~315万円、その数8億8000万人に及ぶ。リーマンショック以降、需要拡大を望めそうもない欧米の代わりに、日本の輸出産業がそこに目を向けるのは自然の流れだ。というわけで<アジア新戦略第2夜>は「『ボリュームゾーン』を狙え」。番組は具体的な挑戦の姿を伝える。

「ボリュームゾーン」中国・韓国先行

   (1)ケータイの中国での販路拡大を目指すシャープは販売員を増強、新たに2万円台の低価格モデルも出して内陸部への進出を図る。が、1万円台の中国、韓国製が幅をきかす昆明の専門店では相手にされず、店員から「日本一といってもここではブランドがないのといっしょ」と言われる始末。中国支社幹部は「シャープの知名度が都市部ほど高くないこの町ではまだまだ。様子を見ながらやってみたい」と話す。苦戦を強いられている感じだ。

   (2)住宅建設ラッシュのベトナムでは、トイレ、フロの需要拡大が続いている。イナックスは、ボリュームゾーンを獲得する目的で現地の老舗メーカーを買収する。その結果、アジア全域に広がる販売網と現地のニーズに合わせた商品開発のノウハウも手に入れる。イナックスの社長は「アジアの国が経済発展すると必ず都市化が起こってくる。それにスピーディーに対応しないとビジネスを拡大できない」と語る。

   (3)エアコンメーカーのダイキンは中国の「格力」との提携を探る。従業員4万人、24時間稼働の「格力」は、年間2000万台(日本全体の3倍)のエアコン生産量を誇る世界有数の企業。部品の調達力が最大の強みで、ダイキンにとっては安い製品を大量に生産できるメリットがあった。が、大きな代償を要求される。最先端の省エネ技術を提供しろというのだ。ダイキンの会長は、社内の猛反対を押し切ってコンバーター技術の提供を決断する。「日本の優位な技術をもって展開するのは今しかないと思った」と会長は述べる。しかし、試作品づくりの場では、品質維持の点で両社間に温度差があり、ダイキン側は戸惑っているようだ。「格力」は中国で、ダイキンはほかの新興国での販売を計画しているというが、果たしてうまく行くかどうか。

   スタジオゲストの木村福成(慶応大学教授)によれば、ボリュームゾーン食い込みでは中国、韓国がシェアを広げてかなり先行しているようだ。国谷裕子ならずとも「日本はおくれをとった気配で水をあけられているのでは?」と心配になる。木村は、市場が成長しているので日本も頑張ればやって行ける。経営者としては面白い局面ではないか、と励ましのコメントで答える。

   折しも船出した鳩山丸はアジア重視のシナリオを描いているかに見える。とはいっても、相手の国々は相当、手強そうだ。政治、経済、両面で難しい舵取りを迫られるに違いない。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年8月17日放送)

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