検閲済みの「夢」 それはドラマ?現実?

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   <世にも奇妙な物語>番組改編で連ドラの端境期。いつも今ごろになると楽しみなのが、このヨキミョーである。20年近くも前からやっていて、文字どおり、奇妙な味わいの番組だ。見ていて、キツネにつままれたような気持ちになったり、大笑いしたり、身につまされてシュンとなったり。なかでも多いのはこわ~い話で、ひとりで見ていると、目は画面に釘付けになりながら、じりじりと後ずさりしていたこともたびたび。

   約2時間の枠で3~6作品をオムニバスで放送する。1話が短いから、なにか別のことをしながら合間にちょっと見るのにもよい。でも私は「次はなに? 次はなに?」とワクワクしながら、結局、全部見てしまう。企画者や脚本家にとっても、アイディア勝負が出来るワクワク枠ではないかしら。

伊藤淳史の持ち味生きる

   さて、この秋は「検索する女」(主演・井上真央)、「自殺者リサイクル法」(主演・生田斗真)、「呪い裁判」(主演・釈由美子)、「理想のスキヤキ」(主演・伊藤淳史)、「夢の検閲官」(主演・石坂浩二)の5本。意表をつくアイディアという点では、「自殺者リサイクル法」と「夢の検閲官」が面白かった。

   「自殺者リサイクル法」。いい加減な理由で自殺しようとした人を死なせず、「自ら命を放棄した者」とみなして死亡扱いとし、一切の人権を剥奪。そして、モノとしての命を国家のために有効に使用するという設定は、安易な自殺願望に対する批判であるが、実際に自殺を考えたことのある人を傷つけるのではないかという声も聞こえてきそうだ。私はそのくらいの毒があったほうがいいと思うけどね。自殺者が着せられる白または黒の制服と、自殺者有効活用機構の係官(りょう)の真っ赤なスーツの対照が鮮烈。冷酷な結末には、予測されたこととはいえ、背筋が寒くなった。

   「夢の検閲官」。一転してこちらの結末は救いがある。このお話を最後に持ってきて、見ている人を、迷い込んだ「奇妙な世界」から気分よく日常に戻そうという意図がうかがわれる。人の安眠を守るために、夢に登場する景色や人物すべてを検閲し、出していいかどうかを決めるというアイディアは、筒井康隆の原作らしくユニークだ。石坂浩二が、退官を前にはじめて規則をやぶる検閲官を重厚な演技で好演。でも、夢をすべてコントロールされていたらと考えると、これもこわい話の部類かも。

   「理想のスキヤキ」は、真面目だが粘着質的な不気味さを感じさせる伊藤淳史の持ち味が生きていて、それなりにハラハラ感があった。それにしても、食べ物にあまりこだわりのない私(要するに、食えさえすりゃあ、いいじゃないか)にとって、スキヤキの仕方にここまでこだわるとは……。と思ったが、ここまでいかなくても、こういう人は案外いそうな気もしてきた。<テレビウォッチ>

                          

(カモノ・ハシ)

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