2024年 4月 25日 (木)

信長VS雷オヤジ がっかりなキャラ変更(火天の城)

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(C)2009「火天の城」製作委員会
(C)2009「火天の城」製作委員会

火天の城>山本兼一の同名小説を映画化した。主演は西田敏行。宮大工の岡部マタエモン(西田敏行)が信長(椎名桔平)との出会い、安土城を3年で完成させるまでを描く。小説版はマタエモンとその息子、以俊の2人が築城にかかわるが、映画版では息子は登場せずに娘の凛(福田沙紀)が代わりに親子の絆を描く設定になっている。この設定の変更は映画に彩りをそえ、シニア世代中心に映画館に人を呼ぶことを狙っているかもしれないが、結果的には失敗している。

   マタエモンが息子を持つ父から娘を持つ父に代わったことで、小説版の威厳のあった雰囲気がかわり、所帯染みたオヤジになってしまった。小説版では息子を怒鳴り散らしていた怖い父親の姿が消えて、仕事が忙しいからと家庭を顧みず、娘に反感を抱かれる父親になってしまった。これはストーリーとしてあまりに痛い。小説の映画化のはずなのに、凛のビジュアルだけしか見えてこない。本来ならば雷親父のはずなのに、ただの城作りの現場監督のパパにしかみえない。

   マタエモンと信長の関係も希薄だ。原作での2人は15年以上の付き合いがあり、寝食をともにするほど信頼関係を築いているのだが、スクリーンの信長は天下を取りたいだけでマタエモンのことはお構いなし、一朝一夕の関係にも見えて感じが悪い。物語は3年で築城する「戦国版プロジェクトX」を見ているようである。城作りを通じた大河ドラマを感じたいなら小説版がおすすめだ。

   父親と娘という設定と信長との信頼関係の変更は大きなストーリーの穴になってしまった。跡取りでないから娘に怒鳴っても仕方ないし、信長に対しても信頼関係の希薄さから突っ込んだこともいえないという主人公のキャラのゆるさ。西田敏行の覇気をフルに出した演技での城作り映画にして欲しかった。

ユウ・ミサト

   オススメ度:☆


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通称ジャナ専。東京都豊島区高田にあるマスコミの専門学校。1974年の開校以来、マスコミ各界へ多くの人材を供給し続けている。

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