教科書から消える名曲 「叙情歌」聴き考えたこと

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「BS 永遠の音楽 叙情歌大全集」(NHK BS2) 2009年10月17日 20時~

   小学校の音楽の教科書から『村祭り』が消えてしまう時代である。代わりに、日本語も怪しい英語なまりの非音楽的はやり歌が跋扈している今、NHKがBSとはいえ、きちんとした詩による古典的叙情歌をまともな歌手たちで演奏する当番組の存在意義は大きい。
   佐藤しのぶ、菅原洋一、デュークエイセス、安田祥子・由紀さおり姉妹、ら、歌唱力のある歌い手たちで唱歌、童謡、ラジオ歌謡などの定番の一挙放送である。佐藤しのぶはフランス人形のようなドレスで『ロンドンデリーの歌』など翻訳ものを3曲。菅原洋一は『忘れな草をあなたに』などの大ヒット曲を味わい深く歌う。
ゲストで出てきた中村メイコは、言わなくてもいいのに「75歳になりました」と明かして詩の朗読。ところが彼女の横で、作詞家・江間章子の『花の街』にまつわるエピソードを由紀さおりが読んでいた時だ。『中空に浮かんでいた…』というくだりを「なかぞらに浮かんでいた」と読んだ。これは「ちゅうくう」と読むべきだろう。仄聞するに、さる音楽の教科書では「なかぞら」とわざわざルビを振っているとか。信じられん。地下で江間さんが泣いているのではないか。それにしても懐古趣味でなく、かつての名曲の詩は日本語として素晴らしい。言葉が美しいだけでなく、漢字のもつ深い含蓄を巧みに配してあって、単体の詩歌として朗読しても鑑賞に耐える。レトロな歌として消えさせるのは勿体ないのである。

(黄蘭)

採点:1.5
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