日本は不審死天国だった? 週刊朝日の問題提起

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   このところ「疑惑」も含めて次々に起こる凶悪事件は、なぜ解決しないのだろう。市橋達也容疑者は運良く逮捕されたが、これは、彼が整形をしたために、足取りをつかまれてしまったことと、2007年4月から始まった公的懸賞金制度上限一杯の1000万円が情報提供者に支払われるため、有力情報が集まったためで、警察の捜査力の結果ではなかった。

   千葉大女子大生の殺人放火や島根県で起きた女子大生バラバラ殺人などは、交際範囲が限られているため、犯人逮捕は早いかと思ったが、この原稿を書いている時点では、何ら進展はない。

死体画像診断とAiセンター

   特に、島根県立大1年生の平岡都さんのケースは、胴体に無数の刺し傷があり、バーナーらしきもので焼かれた痕、その上、乳房が切り取られていたことから、猟奇的な嗜好をもった人間の犯行ではないかという見方もあり、報道も過熱している。

   東京・豊島区と鳥取県に住む、詐欺で逮捕された34歳と35歳の女が、カネ欲しさに付き合っている男性に睡眠導入剤を飲ませ、自殺と見せかけて殺したのではないかという疑惑報道も、喧しい。だが、警察が「殺人」を立証するのはなかなか困難なようだ。なぜなら多くのケースで警察は、自殺、事故死と判断し、解剖などしていないからだ。

   こうした警察の死因究明力の乏しさを憂い、医療の助けを借りろと朝日で提言するのは、作家で医師でもある海堂尊氏だ。氏は、日本の死体の解剖率は2%台に低迷しているのだから、「一連の死因解明システムの下流にある司法解剖を拡充しても、問題は解決しない」という。

   ではどうするか。「Aiセンター」を設置して、死体画像診断をMRIでやれば、5割以上の死因確定率になるのだそうだ。優れた技術を持った医療従事者が画像診断に参画すれば、警察と別系統の死因究明制度が確立し、捜査の妥当性の監視も可能になる。さらにこれを常態化すれば、当時、事件性を疑われなかった被害者の全身CT画像が残されるという利点もある。

   たしかに、睡眠導入剤が使われたかもしれないケースは、Aiでは認知できないが、Aiを行っても死因不明だから解剖しようという流れにするべきだと海堂氏は主張する。来月から「Ai情報センター」が設立されるが、解剖に関連する学会上層部が「Aiは解剖の補助検査だ」と主張する危険があるそうだ。

「日本の解剖率が2%台と世界で最低レベルという事実を無視している。その硬直した思想が、死因不明社会の改善を停滞させ、結果的に連続不審死の蔓延に寄与しかねない」

   殺人事件の検挙率は95%台あるが、事件と認定されずに処理される死体が相当な数あることは容易に想像がつく。死因不明社会の流れをせき止めるためにも、傾聴に値する意見だ。

日本から米軍基地が消える日

   オバマ大統領と会見後、鳩山首相の発言のブレが大きな問題になっている。特に、沖縄の普天間基地の移設問題で、オバマ大統領に「早急に解決する」といったにもかかわらず、その後「これまでの日米合意を前提にしない」との認識を示したことに、国内、国外からも批判が起きている。この宇宙人首相は何を考えているのか、その真意を測りかねているが、その答えの一端を知ることのできる記事が朝日に載っている。鳩山首相の有力なブレーンである寺島実郎・日本総合研究所会長インタビューである。

   中で寺島氏は、在日米軍の駐留コストを7割も負担している国は世界にないとし、沖縄の米軍前方展開兵力をハワイ、グアムまで退け、東アジア有事の際は緊急派遣軍として急派する仕組みに変え、しばらくは、そのコストを日本が負担するのはどうかという。

   基地返還の話し合いを、上下両院の外交委員会のメンバーと日本の国会議員が本音で議論しろといい、こうも話す。

「来年は日米安保条約改定から50周年を迎える。敗戦後の一時期に外国の軍隊が駐留することは歴史上珍しくないけど、独立後も外国の軍隊が駐留し続けることは不自然なのです。(中略)日本は臆することなく主張すればいい。明確な主張をせず、すぐに『日米関係を損なう』と言ってしまう卑屈な姿勢が日本をダメにしているのです」

   また、日本から米軍基地がなくなる日が来ると思っている日本人は少ないのではという問いに、

「私が懸念しているのはまさにその点で、日本人が思考停止に陥り、外国の軍隊の駐留をなくそうという意思を失いかけているのではないかということです。我々がそういう強い意思をもっていることをまず示さないと、日本は国際社会のなかで『まともな大人の国』とは見られません」

と答えている。さらに、

「日米同盟の見直しと東アジア共同体構想とは、実は双生児のようなもので、車の両輪として議論されなければいけないんです」

   鳩山首相の胸の内を代弁しているようではないか。もしそうなら、もっと堂々と、国民にも、オバマアメリカにも主張してほしいと思う。だが、あのどこを見ているのかわからない宙を泳いでいるような眼では、期待するほうが無理なのだろうが。

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