「若者の言語力」崩壊 携帯メール犯人説と対策

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<テレビウォッチ> 就職氷河期の再来。歳の暮れを迎えつつある今、学生たちは一心不乱に就活に取り組んでいる真っ最中だが、悩みのタネは採用企業が力を入れている面接や小論文だ。

   ところが、大学生を含め子供たちの『言語力』低下が著しいという。今2009年秋、言語力検定もスタートしているほどだ。

面接で話ができない

   背景にあるのは、家族構成の変化に伴って家族との会話の場が減少していること。それに携帯メールの普及が加わって、言語力を養う練習の場がなくなっているのだという。

   では、言語力を高めるにはどうすればよいか?? 番組がこのテーマを取り上げた。

   番組によると、言語力とは「自分の考えを思考の道具である言葉で論理的に組み立てて、第3者に伝える力」。

   その言語力の低下で、面接で話が出来ない、作文が書けない憂慮すべき事態が起きているという。

   そこでまず、言語力低下を示す実態から。番組が取材したのは、公務員を志望する学生が受講する『法律ビジネス専門学校』(岩手県盛岡市)。

   毎年200人前後の学生を社会に送り出しているというこの学校が抱える悩みは……自分の考えを整理して相手に伝えられない学生の指導。

   で、教室を覗くと女子学生の1人がマス目を埋めるのに取り組んでいた。テーマは「自己PR」。マス目冒頭に「私は」と書いてあるだけ、もう1か月がたつ。

   「『努力する』を書きたいのだが、どういう流れにしたらいいか分からない」のだという。

   これが一般的な傾向で、決して特別なケースではない。なぜ、自分の考えを整理し論理的に第3者に伝達できないのか。

   慶応大学言語文化研究所の大津由紀雄は、子ども時代に交わした会話の量に注目する。厚労省の調査によると、毎日揃って夕食をする家族はこの30年間で30%も激減している。

   「10歳ごろから筋道を立てて会話する能力が身についてくるが、会話する機会そのものが減っているのが原因」という。

   また、中・高校の現場からは、別の問題を指摘する声も出ている。

   作文を書かせると、話し言葉が文章の中にどんどん入り込んでくる傾向があるという。

   背景にあるのは、狭いスペースの中に細切れの文を並べるだけの携帯メールの普及。これが言語力低下に影響していると考えられている。

「話す場」が不足

   スタジオには、小論文の普及や言語力の向上に努めている立教大学大学院の鳥飼玖美子教授が生出演。

   国谷裕子キャスターの「学生の方たちに接して言語力の低下をどう実感されていますか?」に、鳥飼教授は次のように答えた。

「学生たちは話すのが面倒、進んで説明するのがかったるいというような傾向がある。将来どうなるのかな~と。
一方で、もっと心配しているのは小学生の言葉のいじめ。言葉を使って人間関係を構築するということを知らない。だから言葉で思わず傷つけてしまったり、傷ついてしまったり。
幼稚園とか小学校で、言葉を使って人と人との関係を築くことを学ばせることが大事」

   そこで国谷が「1番大事なことが欠けていると思われることは何ですか?」に、鳥飼教授は「今の子どもが話す意欲を持てないのは大人の責任……自分の考えを話す場が不足している」と次のように言う。

「21世紀は、理路整然と子供が話すと理屈っぽい子ねとか、阿吽の呼吸とか沈黙は金とか言っていられない時代。大人が聞く耳を持てば、子どもも話す意欲がわいてくる」

   来年6月開催されるサッカーのワールドカップ。日本サッカー協会が最近力を入れているのが言語力の強化だという。

   予選全敗の結果に終わった06年大会の敗因を分析したレポートで指摘されたのが、試合中、仲間に自分の考えを伝える能力の不足だった。果たして間に合うかどうか??

   大人が言語力の低下を克服するのは簡単ではなさそう。初めに言葉ありきで、せめて子どもたちの言語力向上を願って、大人が子どもたちの話に耳を傾ける場を持ってあげることから始めよう……

モンブラン

   *NHKクローズアップ現代(2009年11月25日放送)

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