裁判員制で判決に変化 婦女暴行に厳罰傾向

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<テレビウォッチ> 「裁判員裁判」がスタートして半年、国谷裕子キャスターによると、これまで75件の裁判で判決が出され、補充裁判員を含めて600人超の裁判員が参加したという。その人たちにNHKが実施したアンケートの結果が報告される。回答を得られたのは62人。

   「参加してよかった」と答えた人が96%、「判決に市民の感覚が反映された」55%、「どちらかといえば反映された」37%で、合わせて92%が「市民感覚が反映された」とする。

予想上回る懲役15年

   この数字について、スタジオゲストの青木孝之(元裁判官、駿河台法科大学院教授)は「上々の滑り出し」と言い、その要因は「裁判員自身が責任感をもって審理に従事したこと、法曹関係者が意識改革し努力を重ねたこと、今の時点で、強盗や殺人などの、市井感覚で中味がわかりやすく、かつ量刑中心の事件が多く、意見が言いやすかった」からではないかと分析する。

   番組は、裁判員裁判のもとで「判決に変化が出てきた」(国谷)とし、2つの例をあげる。

   1つは「性犯罪の中でも被害が深刻な婦女暴行事件」(国谷)で重い判決が下されているのだという。2人の女性の自宅に入り込んで暴行を働き、現金を奪った、青森で起きた事件の被告(23)には求刑どおり懲役15年が言い渡される。法律のプロたちの予想を上回る判決だった。

   裁判員をした牧師(49)は、被害者の証言を重く受けとめたとし、「15年を出すことで、社会全体に、私たちはこのような事件を許したくない、私たちの住む町に、このような事件で痛んだり、苦しんだり、自分を責めたり、屈辱の中で暮らすような人たちが増えてほしくないと伝えたかった」と話す。

「保護観察」が増加

   もう1つは「保護観察」の増加で、執行猶予14人のうち11人につけられたという。山口で、寝たきりの妻を13年間1人で介護し、無理心中を図ったが果たせず10日間のケガを負わせて殺人未遂に問われた夫(64)は、執行猶予の判決で保護観察がついた。保護司などが定期的に面会し、被告の立ち直りを支援することになる。裁判員を務めた会社社長(58)は「更生を考えた場合、周囲の支えが必要と感じた」と述べる。

   こうした傾向について青木教授は「裁判員は地域住民の代表みたいなところがある。被告が地域社会へ戻ってくるとき、今後どうなるんだろうかということに関心がフォーカスされている印象を受ける」と語る。

   最後に、国谷から、裁判員制度が社会に及ぼす影響を尋ねられた教授は「司法というまぎれもない国家権力の行使する営みの中に一般の人の感覚が入ってくる。画期的なこと」と答えた。その上で、「裁判員の、特殊な、重い、意義のある体験が社会の中にフィードバックされて行く、そういうサイクルが始まろうとしている」と結んだ。

   裁判員裁判制度を推進した法曹関係者にとっては、番組内容は喜ばしいものだったに違いない。思いのほか真摯に取り組んでいる市民たちの姿が描かれていた。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年11月26日放送)

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