「1%が残りの人から奪う世界」 「元凶は資本主義」と告発映画

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   <テレビウォッチ>最新作「キャピタリズム?マネーは踊る?」を携えて初来日したマイケル・ムーアがスタジオゲスト。ドキュメンタリー「ボウリング・フォー・コロンバイン」「華氏911」などアメリカ社会の矛盾を鋭く問う話題作を次々と発表してきた映画監督である。

   冒頭、国谷裕子キャスターが彼の作品を紹介する――自動車産業の衰退で崩壊して行く故郷、GMの本拠地ミシガン州フリントの様子を描いた20年前のデビュー作「ロジャー&ミー」、高校での銃乱射事件を受け、なぜ銃が蔓延し犠牲になる人が後を絶たないのかを問いかけてアカデミー賞を受賞した「ボウリング・フォー・コロンバイン」、「華氏911」では、貧しい人たちがイラク戦争に駆り出され犠牲になって行く実態をあぶり出して、カンヌ国際映画祭最高賞に輝いた――

マイケル・ムーアの集大成

   さらに国谷は説明を加える。「ユーモアを身にまとい、常に弱者の立場に立って映画を制作してきた」ムーアが集大成と位置づけるのが「キャピタリズム」なのだという。「舞台は100年に1度の金融危機に揺れるアメリカ。自ら危機を誘発したにも拘わらず救済される金融業界。その実態を痛烈に批判します」(ナレーション)。映画の中でムーアはウォール街のビルの前に立ち「このビルで犯罪が行われている」と叫んだりする。

   国谷から「アメリカが嫌いなわけではないですよね?」と聞かれたムーアは「私はとても悲しい。アメリカという素晴らしい国で今、起きていることに深く悲しんでいる。これまでずっとうまく行っていたのに、なぜこんなことになってしまったのか。1%の人たちが残りの人々から多くを奪い、人生を狂わせてしまう。そんな横暴がまかり通っている」とし、「資本主義は悪だ。最悪なのは人の命より金が優先される点」と言う。

   「反骨のドキュメンタリスト」(ナレーション)は、アメリカが希望にあふれ1番、輝いていた時代に、自動車産業繁栄の恩恵を受けて育った。祖父、父ともに自動車関連企業の従業員だったのである。それだけにアメリカ社会のひずみを見過ごせないのかもしれない。

「社会の規範失った」

   「この20年でアメリカが失ってしまった最も大切なことは?」と問われ、「われわれは勇気を失った。そして不安にとらわれてしまった。何かを奪われるのではないか、仕事を失うのではないか、と。ある人々は、自分の面倒は自分でみろ、邪魔するなと言う。こうして人々の間に亀裂が生じ、われわれは社会の規範を失ってしまった」と述べる。

   集大成を完成させ「疲れている。一旦、休憩すると思う」とインタビューでは話していたが、国谷によると、オバマ大統領がアフガンに3万人の軍を増派するという情報を耳にし、即座に大統領宛の厳しい手紙を書き、ブログに載せて反対を表明するなど、持ち前の行動力を見せたという。

   国谷は「遠くない将来、メガホンを手に再び映画づくりをするのではないか。旺盛な好奇心、批判精神を目の当たりにしてそう感じずにはいられませんでした」と結んだ。

   「キャピタリズム」の予告品ともいえる内容で、本編を見なくてもいいか、という気になった。映画を見てもらいたいと望むムーアにとっては心外かもしれない。

アレマ

   *NHKクローズアップ現代(2009年12月3日放送)

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