2024年 4月 26日 (金)

美少女と地産地消 経済動かす力と知恵

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   <テレビウォッチ>冷え切ったままのデフレ不況、一向に歯止めのかからない少子高齢化のゆくえ。ならば何を目標にし、何を見習えばいいのか……

   番組が『日本経済活性化で身近に宝の山』と題し、取り上げたピンチをチャンスに変える新たなビジネスモデルのひとつが、日本経済復活へ一筋の光を投げかけているように思える。

地元の女の子をモデルに

   積極的な情報発信で地元商店と組み、『地産地消』を目指し、ファッション業界の活性化を図ろうと2002年11月、新潟に誕生したフリーペーパーのファッション写真集『美少女図鑑』がそのビジネスモデル。

   番組によると、発行しているのは社員9人の広告デザイン会社で、その仕組みは……

   プロの代わりに地元の女の子をモデルとして編集部が募集。地元の美容室や洋服店が、応募してきた女の子にこれはという洋服や髪型でコーディネートし変身させて雑誌に写真を掲載する。

   雑誌を見た地元の女の子に、自分もきれいになりたいと思ってもらいコーディネートした美容室や洋服店に足を運んでもらう仕組みでファッションの『地産地消』だという。

   若い女性ならどこが『産地』であろうが、きれいでかわいい。美人の多いといわれる新潟ならなおのこと素材は豊富。

   地元での美人づくりで、生活がかかっているとなれば美容室や洋服店も腕によりをかける。まして読者が地元なら、その波及効果は計り知れない。

   その意気込みを小林友編集長は次のように語った。

「それぞれの地方にも人材はいるんですよ。東京に比べても遜色ない。デザインに関しても高いレベルを持っているということを示せるものを作りたかった」

   現在は『美少女図鑑』に参加している地元商店は35社に増えた。

   美容室では安さに加え、センスの良さをアピールした結果、客が増加、売り上げも年間150万円ほどアップしたという。

追いかける「雲」はない

   また、若者の大都市流出に歯止めがかかる存在にもなっている。

   モデルになった女性は、東京の大企業で働くことを夢見ていたが、今では「いろいろな人と知り合いになって、新潟だっていいじゃん。新潟で生きることが幸せかなと、思うようになった」という。

   新潟で創刊して丸7年。今では、頭に都市名をつけた『〇〇美少女図鑑』が北は札幌から南は沖縄まで43都市ごとに発行されているという。創刊元の広告デザイン会社が各都市の法人と提携し、発行しているのだというから驚く。

   このアイデアをもとに先月、山口県の法人も形を変えた『山口KIDS図鑑』の創刊を発表している。

   で、キャスターの国谷裕子が「地元の人たちが自分たちで価値をつくり上げていくというのは、とても勇気づけられますね」と。

   これにゲスト出演した三菱総研の小宮山宏理事長は「実は今日初めて知ったのですが、非常に面白いですね」と前置きし次のような捉え方を……

   「日本の今の時代というものを反映していると思う。日本は明治以来、欧米を見ながらきた。東京のモデルを見て自分のファッションを考え、東京では欧米を見ながら考えた。これが逆ですよね。自分たちの特徴を生かしてやっていこうと。ヤング・イノベーションですよ。これが今の日本に1番必要なことだと思う。明治以来、産業をつくれば幸せになれるというモデルでやってきた。NHKの『坂の上の雲』。あの坂の上に見えた白い雲は先進国のもので、ここにもう入ってしまった。雲はもうないんですよ」

   頭が肥大化した分、中身は脆弱、ボロボロ。口先だけ機智に富んだ東京では、まずこうした起爆剤になるようなアイデアは出てこない。

   土の中に手を突っ込み木の根っこを探るような努力と工夫から生まれる本当のアイデアは、地方からか……

モンブラン

NHKクローズアップ現代(2010年1月6日放送)
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