「脳波」でリハビリ手も動く? 日本独自の発想・研究とは

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<テレビウォッチ> アメリカでいま人気のオモチャ。子どもが頭にセンサーをつけて、じっと意識を集中させると、アーラ不思議、筒のなかにあるボールがふわりと浮き上がる。集中力が高いほど、ボールも高く上がる。

   これ実は、脳波を応用したものだ。人間がモノを考える、読む、書く、あらゆる動作で、数百億の脳細胞が微弱な電気信号を出す。これが脳波。例えば数学の計算をしている人の脳波を測ると、計算に集中するほど、信号が強くなる。

動かなかった手に感覚戻る

   これらの測定・データ処理技術の進歩で、特定の脳波を感知して、応用することが可能になった。電気信号は1ボルトの100万分の1というレベルだが、これを頭皮で測定する。センサーは、かつては何百万円もする巨大な機器だったのが、手のひらサイズで数万円というものになった。

   ボールのオモチャは、集中力を扇風機に置き換え、風を起こすようにしただけ。センサーはヘッドホン並みである。開発の最先端では、パネルの絵を見つめるだけで電気をつけたりもできている。

   こうした脳とマシンをつなぐ研究は、主として医療や福祉の分野で米国やドイツが進んでいて、意識で自在に動く車イスとか、ロボット技術の活用で、障害を補助する様々な機器の開発が進んでいる。

   慶応大学と東京都リハビリテーション病院が行っている研究は、驚くべきものだった。脳出血で左手が動かなくなった男性。脳からの信号が左手に届かなくなっているので、左手を台の上に乗せて、まずはその台が動くように訓練をした。

   頭で左手を動かそうと念じる。3か月後に台が動いた。台に乗った左手も動く。するとその信号が脳に伝わり、さらに1か月の訓練で、脳と左手を結ぶ別のルートができて、左手に感覚がもどってきたという。

   国際電気通信基礎技術研究所の川人光男は、「動いたことで、その感覚が脳に伝わり、何年も動かなかった筋肉に指令がいくようになった」と。脳波でマシンを動かすのではなく、動いたことで脳を働かすというのは、日本独自の発想・研究だという。

脳波で分かるCM効果

   アメリカでは、アーチェリーの五輪選手トレーニングに脳波が使われている。これまでは選手の精神面を測る物差しはなかった。しかし脳波を測定することで、集中力の高さやリラックス度が把握できるようになり、選手も「どんな状態で矢を放てばいいのかが分かってきた」という。次の五輪でアメリカが圧勝するのだろうか。

   ビジネスの世界でも脳波に目を向けた人たちがいた。東京の広告会社は、CMの効果を、これまでアンケートやインタビューで把握していた。しかし、言葉には限界がある。そこで、CMフィルムを見せて消費者の脳波を測定したところ、予測とは違うところで強い反応が出たりすることがわかった。商品の画像をどこで見せたら効果的かが、把握できたと。

   川人は、「言葉と脳波、どちらも間違いで、また正しいかもしれない。脳波も脳活動の全体をつかんでいるわけではないから、現場と実験室とのコミュニケーションの必要がある。また、脳へのフィードバックは、脳を変えてしまう危険もある。利益と危険と、判断が必要になる」という。

   どうやらまた1歩、SFの世界に近づいたらしい。将来は脳情報を読めるようにもなるのだと。くわばら、くわばら。読まれないうちにおさらばしたいものだ。

ヤンヤン

   *NHKクローズアップ現代(2010年1月18日放送)

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