「この世の終わり」と「湯煙」の差 阪神淡路大震災秘話ドラマ

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「神戸新聞の7日間~命と向き合った被災記者たちの闘い」(フジテレビ) 2010年1月16日 21時~

   阪神淡路大震災から15年経って、作るべくして作られた秘話ドラマである。筆者の古い友人夫妻は瓦礫の下敷きになり、夫が死んだ。あの時、ほとんどのメディアをチェックしたが、毎日新聞に書かれた作家・藤本義一の、「犬の大群が同じ方向に向けて走り去る」異様な光景を見たという恐ろしいエッセイが1番印象に残った。「ニュースステーション(当時)」で久米宏が、40分以上CМなしで報道し続けたのも思い出す。自分のコラムのタイトルに難渋もした。
   神戸新聞の入社4年目のカメラマン・三津山朋彦(桜井翔)たちは、ホストコンピューターが壊れたため、提携している京都新聞で記事の打ち込みをさせてもらうために、潰れた高速を避けて山の中道を悪戦苦闘して資料やフィルムを運ぶ。だが、締め切りには間に合わず通信社配信の写真が使われてしまう。現場へ出た記者たちは悲惨な情景にカメラを向けられない人間としてのジレンマに悩む。
   情報飢餓の被災者たちに新聞を出さねばならないとハッパをかける山根編集局長(内藤剛志)や、「もらってください」とページ数の少ない夕刊を配る販売店主や、山道から見た煙の立ち昇る神戸の街を「この世の終わり」と感じた記者など、ディテールが胸を打つ。亡き筑紫哲也が上等のコート姿で神戸に降り立ち、業火の煙を「温泉の湯けむりみたい」と表現して顰蹙を買ったが、上面だけ見て何がジャーナリストだと当時憤慨したことも思い出したのである。

(黄蘭)

採点:1.5
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