2024年 4月 25日 (木)

強姦・強盗やめられない… どう下げる再犯率

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<テレビウォッチ>受刑者が出所して犯行に走る再犯率が高くなっているという。1998年は29%だったのが2008年は41.5%に達し、過去20年で最悪とのこと。

   なぜ防げないのか――ケーススタディーに使われるのは、09年10月、千葉・松戸市で起きた21才の女子大生殺害放火事件に関わったとして逮捕された男(48)である。男は、ほぼ同時期、女性を狙った他の4つの犯罪にも関係したと目されている。しかも7年の懲役を終えて出所後わずかひと月で犯行に及んだと見られているのだ。

満期出所の場合…

   番組は、男の過去を追う――熊本県のクリーニング店に住み込んで働いていた26年前、23才の女性をナイフで脅して暴行、2万円を奪って懲役7年の刑を受ける。出所して千葉県に移り住み、運送会社の運転手として勤めるが、6年後、女性宅に侵入した傷害事件で執行猶予処分に。さらに4年後、強盗傷害事件を起こし、懲役7年の刑に服す。そして満期出所後、今回の一連の事件に手を染めた――

   この満期出所が再犯を防ぐ上での課題になっているという。満期を待たず出所する仮出所者の再犯率が36%なのに対して、満期出所者の方は57.1%(08年)。前者には保護観察官の監督を受けることが義務づけられ、社会復帰の支援も受けられるが、後者は、何もなく放りだされる形になるようだ。

   刑務所の元職員は「中できちんと反省し模範的な行動をとれば仮出所できる。不安定になっている人は満期出所になる。このままで出していいのかと思ったこともある」と話す。取材記者によると、刑務所では更生よりも処罰に重きを置くために、再犯を防ぐ指導、教育を行う制度がなかったという。結果、再犯率を高めることにつながった。

オランダの取り組みとは

   海外に範を求めるのは番組の通例。今夜(1月28日)はオランダ北部、ホールン市役所の取り組みがそれに当たる。5年前に設けられた専門部署は、刑務所と密接に連携、受刑者の出所日を確認し、家と仕事を紹介する。強盗傷害などで3度、服役後、アパートと建設関係の働き口を世話してもらった男性は、生活も軌道に乗り、貯蓄も始めたという。

   彼は「市役所は人生の節目で親身に助けてくれた。本当に感謝している」と話す。オランダ司法省の職員は「元受刑者を社会から排除するのではなく、ともに問題を解決する方が効果的で、社会全体の安全にとってプラスだ。排除すれば再犯のリスクが高まる」と胸を張る。

   スタジオゲストの諸澤英道(常磐大学教授)も「社会で支えるしくみが働かないと、犯罪者が社会に戻っても自立できない」として、「欧米では非常勤、有給のソーシャルワーカーがプロとして犯罪者の社会復帰に関わっている。日本でもこうしたものをつくるべき」と提案する。

   といっても、オランダの再犯率は5ポイント低下しても60%台らしい。それに比べると日本は今のところ、まだマシといえそうだが、制度設計を急がないと追いつかれるかもしれない。もっとも、お金が必要には違いない。事業仕分けではどう扱われるのだろうか。

アレマ

   * NHKクローズアップ現代(2010年1月28日放送)

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