2024年 4月 23日 (火)

「引退表明」朝青龍 「辞められぬ理由」押し出したもの

   奇しくも今日(2月4日)、注目を集めている2人の帰趨が決まる。小沢一郎幹事長と朝青龍である。小沢は不起訴のようだが、朝青龍は、ついに引退に追い込まれた。

   不起訴とは「犯罪不成立、犯罪の証拠(嫌疑)不十分、被疑者の死亡や時効完成等訴訟条件の不備、あるいは犯罪が軽微(微罪)であったり、犯人の性格、年齢、境遇から、はたまた改悛の情が顕著であるため訴追を必要としない等の理由で検察官が裁判所に処罰を求めない(公訴提起をしない)こと」(ネットの用語解説より)

検察との第2ラウンド

   石川知裕容疑者らの起訴だけで終われば、地検特捜部を含めた検察への批判が高まることはもちろんのこと、検察側が、一連の捜査についての説明責任を果たさなければならないこと、いうまでもない。

   産経新聞は「主張」でこう書く。「小沢氏は土地購入原資にしたとされる銀行預金を家族の名義にしておきながら、『私のおカネ』と断言した。法律違反である借名口座にはおかまいなしだ。こうした『脱法行為』を見逃すことは国家を溶解させることを忘れてはならない。(中略)全容を解明し、違法行為の摘発が検察の責務である」

   文春も「いまは、国税が表立っては動いていませんが、検事たちの念頭には、所得税法違反がある。故・金丸信は金の延べ棒や銀行債権などの隠し資産が見つかって、結果的には脱税で逮捕できた。小沢幹事長の場合は日本中に買い漁った土地がそれにあたる」(検察に詳しい司法ジャーナリスト)と、まだ次があると読む。

   小沢の秘書を20年にわたって務め、ゼネコンからの上納金吸い上げ方式を作り上げたT氏は、小沢と袂を分かち、前回の総選挙で、小沢と同じ選挙区で出馬したが落選した。そのT氏が、検察に協力しているという話を、私も聞いている。

   小沢氏がこのまま幹事長を続けるにしても、予算が通った後から、検察とのバトル第2ラウンドが始まるはずだ。

「示談」の真相は?

   相撲界は、貴乃花の番狂わせ理事就任で大あわての上、朝青龍の場所中の民間人暴行騒動で、末期症状を呈しているが、朝青龍からの引退宣言で、かろうじてメンツを保った。

   新潮は、朝青龍が、事件後あの手この手でコトを穏便に済ますために奔走していた様子を逐一書いている。事件から2日後に神楽坂の焼肉店で、細木数子氏と会い、善後策を協議したようだ。1月22日か23日には、政財界のフィクサーといわれる国家武道会議の朝堂院大覚総裁にも相談し、朝堂院氏はわざわざ麻布署まで出向き、朝青龍の弁明を伝えたという。

   しかし、こうした「応急措置」も、新潮のスクープで崩れると、被害者から示談を取るのに必死になった。いきなり1000万円を提示するが、被害者側は納得せず、たにまちのパチンコ業者がカネを調達したというのだ。「その金額について1000万円だとか報じられていますが、示談書に書かれた数字は100万円です。それにプラスして相撲観戦チケットを渡すのが示談の条件。でも、それは、相撲協会に対し、被害者とスンナリ示談が成立したかのように装うためだった」と、被害者の関係者は明かしている。

   こうして、朝青龍は確実に追い詰められた。新理事になった貴乃花も、「もう朝青龍を過保護にはできない」(文春)と公言したし、騒動の最初、私が被害者だと身代わりに名乗り出て朝青龍をかばった個人マネジャーも辞めてしまった。

   新潮によれば、捜査関係者も「朝青龍からも事情を聞き、傷害容疑で書類送検になるのは確実です。実はそれに加えて、朝青龍の『示談強要』が浮上してきた。暴力団などが介入し、無理矢理示談に応じさせたのではないかという疑いで、捜査を進めている」

   進退窮まった。だが、朝青龍には、いま相撲を辞められない事情があった。「一族がモンゴルで経営する企業集団『ASAグループ』傘下の国民投資銀行が、リーマンショックで巨額損失を被り、資金繰りに窮していると聞きます。そのうえ昨夏のモンゴル政権交代の煽りで、その後銀行業務が機能不全に陥り、預金やローンについて尋ねても『停止している』と言うばかりだそうです」(文春)

   しかし、相撲協会が、朝青龍のような希代のヒールを手放したくない気持ちもわからないではない。これだけの悪役を、かつての貴花田(現・貴乃花)のような正義の使者が現れて、土俵の上にぶん投げれば、いやが上にも相撲は盛り上がる。そのときまで、何とか朝青龍を生きながらえさせたいという知恵者が、協会の中にいたのかもしれない。だが、その希代のヒールも消えるときが来た。

   なぜか少し寂しい気がする。朝青龍は記憶に残る横綱であったのは間違いない。

   新潮があの「沢尻エリカ」の近影を撮っている。エリカ様が「たかの友梨ビューティクリニック」で起死回生の「全裸CM」に挑み、芸能界復帰を目論んでいるのではないかと書いている。後藤久美子、黒谷友香、米倉涼子などを使って話題になるCMを作ってきた「たかの友梨」だけに、ありそうな話ではある。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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