スピードスケートと日本の技術 メダル狙う天才と努力家

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テレビウォッチ>開幕まであと8日に迫ったバンクーバー五輪。2月3日の番組から『バンクーバー五輪に挑む』のシリーズが始まった。

トリノの屈辱

   第1回目は『ライバルで目指せ、金メダル』と題し、『男子スピードスケート500m』を取り上げた。

「トリノの二の舞はご免だ。こんどこそは!」

   メダルが期待されるスプリント部門2枚看板の加藤条治と長島圭一郎が4日、バンクーバーに向けて旅立った。

   過去7つのメダルを獲得し、6大会連続表彰台に上っていたお家芸の『男子スピードスケート500m』。前回のトリノ五輪でその記録が途絶えた。メダルが確実視されていた加藤は6着、まだ無名だった長島は13着だった。

   今回、代表に選ばれたのは加藤、長島のほか、及川佑、太田明生の4人。なかでも加藤、長島の2人は金メダル候補に挙げられ、トリノの雪辱をバネにライバル同士としてしのぎを削ってきた。

   番組は、トリノから4年、メダル奪還を目指し互いに切磋琢磨してきたその足跡を追った。

   トリノで味わった屈辱に加藤は「前評判に、その気になって勝負の世界から外れていた」と語る。一方、長島は「打ちのめされたというところまで行っていなかった。恥ずかしかったという感じだった」と。

   2人をよく知る黒岩敏幸(アルベール五輪銀メダリスト)も当時の2人について、「VTRで自分の滑りを振り返って見るのも嫌で、反省もしたくなかったようだ。それほど精神的に落ち込んでいた」という。それが今では見違えるほどに代わり、金メダル候補に。

   もともと加藤のカーブワークは世界屈指といわれ、高校生で日本代表、20歳で世界記録を樹立している「天才」。一方、長島は「2歳年下の加藤と同じチームに入り、加藤の後ろについて練習」(黒岩)し、高い技術を習得していった「努力家」。

   有力な外国選手のフォームを徹底的に分析し、たどり着いた結論は腰を低くし重心を下げるフォーム。これだと、ストロークが長くなり氷を長時間、強くけることができスピードが増す。

   実際、横から見た長島の滑りは、上下動が全くなく、低い姿勢をキープしたまま滑る姿は世界1。最も美しいといわれるのも納得する。

「まさに戦国時代」

   一方、自分のスケートを見失っていた加藤は、ハイスピードで成長を遂げる長島に刺激されてスケートを1から見直しした。その結果、自分の課題を探り当てた。

   持久力不足。徹底的に走り込みを行い心肺機能を強化し、筋トレにも取り組んで体力アップを図った。

   で、まず答えを出したのは長島だった。昨2009年11月のワールドカップ第2戦『オランダ大会』。2回のレースの合計を競う『男子スピードスケート500m』1日目。長島がまず34秒98で優勝、2日目は8位だった。

   加藤の1日目は17位だったが、2日目には長島と同タイムで優勝している。ただ、総合では長島の勝ちだった。

   もっとも、2人の前に立ちはだかる外国勢も脅威だ。とくに今シーズンのワールドカップ8大会では優勝者が6人もいる混戦ぶり。

   その中でも脅威なのが2人のエース、イ・カンソクとイ・ギュヒョクのいる韓国勢で現在、2人は世界ランキング1位と2位だ。加えてアメリカの金メダル有力候補と言われているタッカー・フレデリクスも。

   韓国勢が一躍メダル候補にのし上がったのは、合同練習を積極的に進め日本から技術や集中力を学んだからという。また、カーブワークに課題を残していたアメリカのタッカーも加藤のテクニックを研究し身につけたからという。

   キャスターの森本健成が「まさに戦国時代ですが、外国の有力金メダル候補たちが日本選手の技術を取り込んでいるというのも すごい。どうしてですか?」と。

   この問いに黒岩は次のように答えた。

「欧米の選手は、これまで体力で押し切ってきた部分があった。ところが体力のない日本人があれだけのタイムを出せる。高い技術を持っているということで研究したのだと思う」

   「ズバリメダルは?」という森本の問いに、黒岩は「安定感という部分で長島君、トップを狙う部分で加藤君、及川君の存在もこわい」とか。

   レースは2月16日午前8時30分(日本時間)から。

モンブラン

* NHKクローズアップ現代(2010年2月3日放送)

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