朝の4時、隣で女優が泣いている 彼女たちの気苦労と喜び

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   <テレビウォッチ>未明の4時。

   隣の部屋からすすり泣きが聞こえている。

言葉の重み

   どうしたのかと思い行ってみると、同居人の女優が1枚のFAXを見ながら、目を赤く腫らしていた。聞くと、初主演の舞台を前に母親から激励のFAXが届き、涙が出て止まらなくなってしまったのだという。

   家で発声練習から、大声で長台詞の稽古を毎日続ける彼女、自宅で作業することが多い商売の私としては、気が散り少々うんざりしていた。そして舞台稽古では演出家に散々絞られて、彼女は心身ともに疲労困憊している状態だった。そこに母からの激励FAXが届き、泣けてきたということだった。なんとも大変な仕事を選んだものだなと、彼女を見ていると思ってしまう。

   仕事でも、俳優や歌手にリポーターとして活躍してもらうラジオ番組を担当しているのだが、どの方もみなそれぞれに苦労されているのがよくわかる。シャワーを浴びながら発声練習をしているだとか、台詞を体に入れる(彼らは覚えることを体に入れるという表現を使う)ために散歩しながら台詞を呟き続ける、はたまた精神集中して台詞を全て書きだすなど、十人十色の役作り法を教えてくれる。どなたも苦労していて頭が下がる思いだ。

   そして多くの人が時間を見つけては携帯でブログを更新している。ブログを打ち込みながら、情報開示時期や写真使用についてよく聞かれるが、彼らが最も気を使っているのは「言葉」だ。放送業界で叫ばれる「言葉狩り」以上に、ネット界では言葉の使い方が明暗を分ける。ブログは、その人のライフスタイルや、好きな食べ物、さらに考え方などがわかるメリットの反面、言葉の使い方を間違えると炎上して時に命取りになることが多々ある。

頭の中身さらけ出す

   かつて、ある番組でかの中森明夫氏は、「これからアイドルは、アイドルでい続けることは出来ないだろう」と指摘してくれた。彼女達はブログで私生活のいい面を小出しに見せなくてはならない半面、ブログには載せられないようなスキャンダルをスッパ抜かれると、途端にメディア露出が少なくなり、そのまま忘れ去られてしまうことになりかねないからだ。

   ブログでの書き込みが原因で自殺に至ることもあり、こうなると芸能人だからという、有名税の一言では片付けられないだろう。

   「ヌード写真集を出すよりも、言葉を紡ぎだすことはもっと恥ずかしくて辛い。頭の中身をさらけ出す、自分の人生を全て切り売りすることだからね」と先輩作家に言われたことがある。私たちの商売についての一言だが、言いえて妙だったのでなぜかずっと覚えている言葉だ。

   しかし、今の俳優・歌手の方々は演技や歌などで体をさらけ出し、かつブログで頭の中身もさらけ出さないといけない。さぞかし気苦労が多いことだろう。

   こう書き連ねている間、隣の部屋ではすすり泣きに代わって長台詞を稽古する声が聞こえてきた。主演舞台まであと数日。彼女の努力、そして私の我慢した時間分、舞台では成功するように祈りたい。

モジョっこ

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